http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=225
敬愛する書家、金澤翔子さんの個展が始まっています。なんとか時間を作って、拝見しなくちゃ。少し前には、上野の森美術館の石川九楊さんの個展も素晴らしかった。上野散策は、最近増えた趣味の一つでもあります。
実は小僧の学校が東京の東側なのです。
役員を拝命した初年度はひたすらわけがわからず、ただ学校と自宅の往復で一刻もはやくおうちに帰りたい感じだったのですが、二年目の今年、今まで知らなかった東方面の観光地をチェックすることから始めてみました。
「せっかくご縁があって学校に行くのなら、とことん遊び尽くすつもりで」
そう思ったら、無縁だった下町が突然自分のテリトリーのようになってきて、親しみも倍増しています。ボランティアは終わりのない家事のようなものですから毎週お出かけ三昧というわけにも行きませんが、少しずつ幾つかの博物館や記念館の年パスを購入。折りたたみの自転車を車に積んで、駐車場を起点に路地にも入っていきます。公共交通を使うときには、とても便利な都バス1日フリーパスなんかも乗りこなし、学生気分で大学のキャンパスにフラリお邪魔することもあれば、1人で立ち飲みしてから帰るおっさんのような日もあり、楽しい、楽しい。いやもう研究に余念がありません。
例えばここは正岡子規の庵。鶯谷のラブホ街にぽつんと1軒、保存されていますが、格子戸をくぐり抜けると別天地です。
小さな書道博物館の企画展からこちらに立ち寄り、明治の文豪に想いを馳せる静かで豊かな時間になりました。
きっかけは、今年の5月に、鉄砲玉のお嬢を捕獲しにニューヨークに行ったことでした。
地方の国際系列の大学に進学してからというもの、お嬢は時間とお金をなんとか捻出してつねに何処かに行っています。カナダに一年交換留学した後、放浪するつもりのようでしたが、GWに仕事でニューヨークに行くという母と落ち合い、母のお財布で帰路の飛行機代が出るのなら一緒に帰ってもよいと考え直したようで......。
もちろん余裕などない苦学生のお嬢と、塾を始めてまだ駆け出しの私ですから、マンハッタンでもYMCA二段ベッド、バス・トイレなしの寮生活。タクシーは極力使わず、地下鉄か、ひたすら歩く観光。時には自転車を借りてマンハッタンを走り回る親子二人旅になりました。
ところが、それが本当にものすごく楽しかったんです。バブル時代の独身贅沢旅行や、幼児期の娘を連れた親子旅行よりもずっと。
「暮らす」みたいに貪欲に、自分の仮住まいからご近所の面白そうな場所を徹底的に訪ねて歩く。そうやって見えてくるものは、かつて知っているマンハッタンではありませんでした。
大学の学食。博物館美術館は高いからここぞという所以外は入り口とミュージアムショップだけ。公園。屋台。エスニックレストラン。安売りの始まった時刻を狙って走って入るオフ・ブロードウェイのミュージカル。
その「目」を、そっくりそのまま東京イーストサイドの観光に活かしてみようと思ったのでした。旅するように、東京を見ていこう。というわけです。
そして、東京はマンハッタン以上に実に興味深い街でした。学ぼうと思えばとことん。遊ぼうと思えばとことん。お金をかけずに、ちゃんと楽しい東京。せっかくなので、あと1年半の役員時代、イーストサイドの観光ガイドができるぐらいに趣味の散策を探求したいと思っています。