2020年3月アーカイブ

お見舞い申し上げます

コロナウィルスのせいで、社会的な機能がぼんやりストップしている今日この頃ではございますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私の可愛い生徒さんたちが上機嫌で元気いっぱいなのを見るにつけ、最近のお子さんたちは忙しいものなあ、時には立ち止まってのんびりして、がっちり眠ってお外で思う存分遊べたらそれはそれで何かが変わるかもしれないなあ・・・などと感じておりました。

ええ、最初のうちは呑気なもので。

元から在宅仕事の相方、私も通勤は自転車。安全なおばあちゃんちに遊びにくるような感覚で塾にきてもらえばいいと思っていましたから、仕事は続いていて私自身はいつもどおりの日常だったのです。手洗いだけは神経質に行うとしても。

さて、ある日突然、うちの息子が留学先(レベル3 )から緊急避難することになりました。万が一にでも保菌者だった場合、大切な門下生に感染させてはなりませんから、十四日間の自主健康観察期間中を設定、急遽塾も閉鎖すべきと判断。

いつもいつもなんだかバタバタ忙しかった毎日が、とつぜんパタッと凪いだわけです。

初日はよく寝てよく食べて、無事に帰ってきた小僧からいろいろな話を聞いて、なかなかに楽しい気分。ふだん見て見ぬ振りだった家事もサクサク進む。古い着物のリフォームも、積んである本を読む時間も、ちょっと苦手意識のある書体の練習も、たまっていたドラマや映画も消化できそう。なんて、ワクワクしていました。

ところが軟禁五日目の今日。

ひさしぶりの日本食に食欲が爆発している小僧につられて食べていたら一気に太って体が重く、一日五千歩に満たない運動不足にイライラし始める始末。自由すぎる時間もどうにもうまく使えず無駄に過ごしている罪悪感に苛まれて、精神衛生上よろしくないのです。隙間時間だからこそ惜しんで友人に会ったり、町歩きをしたり、イベントや習い事に精を出したり。移動中に音楽を楽しんだり、ながら勉強やついで運動をしたり、そういう貧乏暇ナシなリズムをどれほど愛していたか思い知らされます。久しぶりに退屈という贅沢に見舞われて、辟易としちゃってる。

しかも今日はこの子たちに会えるはずだった、この課題をこなすはずだったと、寂しくてならない。

このレターを書き終えた後で、墨をすって心を宥め、再度自分をみつめてみようと思います。こういう時、書道がそばにあってよかったなあと自覚できただけでも、このたっぷりめの時間を与えられた意味があったのかもしれません。どんなに夢中になっても仕事に行く時間だからとストップしなくていいのは、いい。

明るい方へ想いを寄せたい。

そもそも自由な時間がたっぷりあったらどんなにかいいだろうといつも思っていたのではなかったかと自問自答します。

夢が簡単に叶ってしまったら文句ばかりが溢れてくるとはなんという不徳だろう。

経済は先行き不安定、社会情勢も否応なく変わっていくはずです。私自身もちょうど何かが変わる時に来ているのかもしれません。そんな発見ができたことをまずは喜ぼうと思います。

なので、皆様にもどうぞお変わりなく、とは書きません。とりあえず手洗いだけはしっかり行い、身を守ってくださいね。どうぞ御無事で。コトの収束を迎えた時に、すばやく時世に適応できるように、確固たる己を築き上げて、ひとまわりもふたまわりも大きくなっていましょうね。・・・もちろんそれは体重ではなくて。

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