What a wonderful meeting!

プライベートレッスンで定期的にお邪魔している家庭がいくつかあります。

プライベートレッスンは、何といっても圧倒的に技術の習得が早いことと・・・なんとなく全面的に肯定してくれるおばあちゃんみたいな人がそばにいるあたりが、最大の強みでしょうか。

どんな子でも、どんな文字にも表れる、その人柄は素晴らしいのだ!という前提に立つ書道laboratory【天】ですから、グダグダになって疲れちゃっている子どもには無理強いせずに、とりあえずグダグダをコトバと文字に吐き出させます。少し疲れが癒されれば、それもまた書の効用のひとつです。

単発でプライベートレッスンにお伺いすることもあります。お教室の方に来ていただくこともあります。

変わったところでは、ペン字でお姑様に書くお手紙のモデルケースのお手本書きを含むレッスンや、外国人のお友達のためのカルチャーセンター的レッスン、外国人たちの集まるパーティーの時の、子ども部門の余興というか......ありていに言ってベビーシッター代わりというのもありました。何しろ楽しかったのと、でき上がった作品はものすごく喜んでいただけたので、こういうお仕事も大歓迎。

プライベートレッスンは、2名までです。指導の質を考えると1人がベストですが、コストも考えて。

さて、あるお宅にプライベートレッスンで伺っていた時、ベビーシッターさんがとても興味深そうに書道をご覧になっていました。そこで、その次の回に彼女の分もお道具をお持ちし、ちょっと促してみました。彼女はとても喜び、道具扱いの基本から基本の筆運びをしっかり繰り返しました。

基本だけではつまらないだろうと思い、漢字を書くように薦め「光」に挑戦。初回とは思えぬできばえに驚きました。

ものすごく手筋が良いのです。勢いも、手本を見る力も。彼女には才能がある!しかも努力家で勤勉である。じっくり育てたい生徒の一人になりました。

そして二度目に「光」を仕上げ、三度目に伺った昨日・・・「来週、故郷のドイツに帰る」と聞きました。

自分の名前の意味を漢字にした「蝶」にトライしたいというので、虫と世と木に分けて特訓。勢いだけで恰好がつく文字とは違い、初心者には難しい文字と技術ばかりです。筆順も大事です。彼女はここが気に入らない、まだここがアシンメトリーだ、右払いがうまくできない!と何枚も半紙を真っ黒にするまで書きつづけ、「もっとできるはずなのに」という悔しさをにじませつつ、最後には私が選んだ一枚と一緒に写真を撮らせてもらいました。

ああ、育てたかったなあ。

私にとって初のドイツ人門下生は素晴らしく真面目でチャーミングでした。とにかく故郷のドイツでも絶対に書道を続けてほしいと言い、ハグをして別れました。

書を介して、素敵な出会いがありました。

同時に、彼女が出会った「書道」が、この先、彼女自身の人生も豊かな彩りを与えてくれますように。

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この記事について

このページは、Yukoが2017年6月28日 10:27に書いた記事です。

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