遠足の前の日。
運動会の前の日。
大会の前の日。
どんなにわくわくドキドキしても、眠気が勝って眠れないということはありませんでした。
でも、書道伝道師のお仕事の前の番は、とにかくギリギリまで準備をしたいのでどうしても睡眠を削ることになります。考えた新しいアイディアをあれもこれもと詰め込んでみて、リハーサルをして時間を鑑みて、あれやこれやを削っていく......この「仕込み」の作業が、とにかく楽しくて仕方ないのです。
書の道で「生きていく」と決めた以上、仕事は仕事ですからコスト計算をしなければならないことはわかっています。新しいアイディアを試すにはお金がかかりますし、多くの方からご厚情を頂いて場所は破格に安くお借りしているとはいえ、材料も含めて必要経費はかかってきます。私自身が学ぶ時間も仕事として計上すれば、ブラックもブラック、書道だけに極めて墨痕淋漓、これは労働とは呼べなくなってしまいます。
でもね。
もうきっと、やめられないのだと思います。
子どもたちの輝く瞳を見てしまったから。
本当にね、嬉しそうな、やりきったドヤ顔をするんですよ。納得の行く一枚を仕上げた時の彼らは。そういうのに触れちゃったら、もうやめられないです。
門下生になると、書きたくないときはダラダラ過ごすこともあります。
ダラダラしながら悩みを話してくれたりもします。そういう時のゆう子先生は、ただただ共感をもって聴いて認めるだけで、アドバイスは全くしないわけですが、子どもなりにさっぱりすると、一、二枚一気にさっぱりした字を書き上げて、さっぱりと帰っていったりもします。
(老後はそういう「隠れ家のおばあさん」になりたかったので、早くも夢がひとつ、叶ったことになります。自慢、自慢)。
自分が書く文字は、どんなものも確固たる自己表現です。書は誰にでもできる圧倒的に楽しく簡単な芸術ですから、その入口のところで「いいね!」と思ってもらうことが大切。書いて楽しければ、勝手に伸びていきますからね。
さあて、明日、地域のボランティアでいく場所で、初めて書道に触れる子どもたちはどんな子達でしょう。
「楽しいな」と思ってもらえるように、頑張るぞー!