説明会

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そういえば一学期、小僧は学校の説明会に在校生代表の一人として立ち、楽しい学園生活について語った。らしい。
学校のお名前の入ったペンセットを頂いていたので、多分それは本当なのだろう。
うーん。
うーん。
小僧のユニークな個性をとても尊い者のように扱ってくださり、しかも勉強が人並みにできるようにしっかりとご指導くださっている諸先生方にはもう平身低頭するばかりなのだが......、そんな小僧の話をする聞いて「よし、この学校に行こう」と思う奇特な方はおそらくとても少ないのではないか、痛恨のミス人選ではなかろうか、見に行きたいけど行ったらきっと赤面したまま気絶するか強烈なダメ出しの嵐だろうと思って、行かないでおいた。
そして老人力がいや増している私は、忘却という武器によって悪い想像をきれいさっぱり打ち消したのだった。

すっかり忘れて平和な日々を送っていたのだが、ちょっとした折に今年小六生をもつママ友にばったり会って、開口一番
「そういえば見たわよ、福ちゃん! 説明会で!!」
と言われて、ひゃーん!←悪い記憶が蘇る音 どないしよ、と頭を抱えた。
酸欠の金魚みたいにパクパクしていると、
「大丈夫だったわよ、すごく受けてた」
と言われた。
ウケた?
笑わせた、ということ?
笑われた、のではなく?
と脇の下が有働さん並にぐっしょり濡れたが、ちょっとそんな風には聞き込めず。
そういえば、帰宅直後小僧にも確かに聞いている。
「ウケたからよかった」って。
それ、どゆことー!?
「ななな、何話してウケたの?」
「いや、何というか・・・いい。それはオレのボケの腕というより、先生の突っ込みの見事さだから」
とだけ言う小僧。
何それ。
今、ボケとか突っ込みとかいった?
あのさ、説明会だよね、演芸大会とか文化祭じゃないんだよね?と詰問してみたのだが、まあまあいいじゃん、ボールペンももらったんだし〜♪ と、いなされて終わっていたのだった。思い出した。
ママ友に
「その説明会さ......ものすごく恥ずかしいんだけど」
と勇気をもって聞いてみた。変なこと、言ってなかった? 下ネタとか。
......下ネタは、去年の担任に「禁止、特に職員室内では絶対禁止」と言い渡されている前科者なので、心配だった。
「大丈夫よ、ホント、しっかりしてたし、ウケてたし」
内容は?
「それは、うーん、再現できないけど」
......やはり、先生の突っ込みのワザが素晴らしいのか。
いや、まて私、話の核はそこじゃないだろう!と、一人のりつっこみをしてみるイン マイ ハート。
「それで、小僧の話を聞いて・・・どう思った?」
さらに勇気のいる質問を。すると、
「うん、受験することにした!」
にっこり笑うそのママ友の神々しさったら!もー。両手で握手だ。ハグだ。ちゅーだ。

実際、ワタシ的にはものすごく好感度の高い学校なので、リアル知り合いの方には心を込めておすすめしている。
このたびも、リアル知り合いだったからこそこういうお話しになったのかもしれないけれど、在校生代表で話したことで、少しでも学校に貢献できたなら大変に有り難い。
受験して合格して、入学したら本当にすごく楽しい学園生活だと思うわ。と在校者保護者レベルでもおおいに太鼓判を押しておいた。

それを小僧に言ったら、
「ああ、説明会のときに◎×◎さんが一緒だったからね。あいつはまとめて発表するのがすごく上手だから」
と超優等生の名前が挙がった。
そうかー、そういうことかー。
頭脳明晰を印象づけるのはその子で、優秀じゃなくてもめちゃくちゃ楽しい学校生活の生き証人の部分が小僧の担当だったのかもしれない。
さすがだ、先生。いいバランスだ。もっていらっしゃるのは、突っ込みの腕だけじゃないな。←だから、ちがうって。