楽しかったよ、メインのUSJ。
ハリーポッターのいろいろができるのが7月だから、今の時期にはしゃいでUSJを訪れる人は少ない。
平日だから開場時間も短いし、休業の店舗やイベントもあって、条件が悪い。
だからこその、格安ツアー。そして、何より待ち時間がほぼない!最長で45分待ち(実際は30分程度)があったけれど、あとはおそらく平均10分......もなかったかも。
いくつかのアトラクションではカッパを着る時間すらないほどに、せかされるままに直行ちゃって、えらい目に合ったわよ。
前情報を全く入れていかなかったのは新鮮で感動倍増、実に素晴らしかったけど、それも待ち時間がないからこそできたこと。ひたすら待って待って「こーれーかーよぉぉぉぉ」だったら、泣く。
そういう意味では全く準備しないいきあたりばったり、乗れても乗れなくてもまあいいか、という「大人のユニバーサルスタジオ」遊びは、この時期が旬なのだ。ふふふ。
問題は、私がいわゆるライドものに全く乗れなくなっていたことだった。
メンバーが三人だったので、ふたりで乗りに行ってもらえたからよかったけれど、年をとると激しいアトラクションは苦痛になるのだということにびっくりした。人にも旬があるのね。
首に障害を抱えている方、体調の優れない方、乗り物酔いしやすい方は・・・という該当アナウンスを聞き、「こんな感じの動き」という見本の動画を見て直前に挫折したスペースファンタジー。
基本的に今日は見る路線で、と同行の二人にはご容赦いただき、しかしシナリオを買って読み込んだほどに大好きだったバックトゥーザフューチャーには乗るよ、ドクが私に語りかける以上、このタイムトラベルだけは死んでも行く!と張り切って並んだ。
終了後、時空酔いなのか、めまいで吐きそうになってしまったので、やはり無理はできないと、その後、「激しい」シリーズのライドは一切遠慮することなった。
あ、唯一「新聞記者として乗り込んだ」スパイダーマンは、かろうじて眠っていた職業意識に支えられたのか、終了後軽く歩けなくなった程度ですぐに復活したけれど。
大好きすぎたジュラシックパークですら、無事生還して尚、復活の為にはビールの力が必要だった。それは言い訳して昼からビールを飲みたかっただけなのでは、という説は受け付けない。
正直、ストレス発散に遊園地に行きジェットコースターやフリーフォール、挙げ句の果てはスカイダイビングで憂鬱を払拭するような、乗り物も新感覚も好きだった自分のあまりの老いっぷりは哀しかった。
年をとったら、乗るに乗れない。今、できることを、今、やっておけ。
と、待ち時間につぶやいてしまうほどに、切ない自己再発見だった。
それでも、劇場型のショーもムービーも素晴らしく、すぐに物語に入り込める感性は鈍っていたもののなかなか上等で、どの場所でもその場の関係者になりきって、わくわくドキドキするのだった。うん、多分このときめきは不整脈ではない。
ああ、悔しいな。まだ子どもを持たずにアジア放浪してた頃、二十年ぐらい前だったら、どんなショーももっともっともぉぉぉぉぉーっと楽しかっただろうというのは想像に易かった。唯一の救いは、二十年前にUSJができていなかったことだ。
月に三千円の積み立てだから、旅行に行けるのは三年に一度。
でも、次の三年後に私が元気だという保障はどこにもないんだなあと、今回初めて、しみじみ思った旅行だった。
会いたい人に会おう、行きたい場所に行こう。やりたいことはやろう、できなくなっちゃう前に。
年を重ねるのは豊かなことだと思っていた。
同級生の友情はいい感じに熟成して、トイレに行く回数を恥じることはないし、美貌の衰えも若い頃の記憶で互いに修正できる。酸いも甘いも、異なる境遇と共通の話題になって、それぞれに発見と共感を楽しめる。
でも、できないことは増えていく。それは現実だ。
夕飯に美味しい神戸牛をいただいたけれど、次回はこれを美味しいと思えなくなるかもしれない。年を重ねて、私はある日突然大好物の貝でアレルギーを起こす体質に変わり、貝が食べられなくなっている。ラッコだったら死活問題だった。
今回初めて、USJで「投球して景品を当てるタイプのゲーム」でおおはずしをした。投球もので景品を手にしなかったのは初めてかもしれず、これは案外じわじわショックで、来月のソフトボール大会の出場を取りやめようと思っている。
聞こえなくなっていく、見えなくなっていく。
自分の中に起きている急激な変化は、ひとつひとつじっくり観察するのには面白い。できないものを無理にできるように矯正しようとも思わない。だが、できるうちに楽しまないと!という貧乏根性はまだバリバリ健在なのだった。
無事に帰ってきたで。
さあ、やれることをやろう。
本当にやりたいことをやろう。
本当にやりたいこと......これがまた、ありすぎるので困っているんだけど。