福助期末前

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昨日の朝、小僧がでかけにスチール製のドアの結露を見て「あ、これが『凝結』だ」と理科試験範囲の言葉が出ました。
気化とか昇華とか、ほら、誰もが通る物質の状態のあたりですね。
ううう、理科の神様ありがとう。涙。
かすかに小僧のやる気スイッチを感じた瞬間でした。

すぐそこにあるもので実験したり、じっくり観察したり、理科は日常生活に根ざした時に一気に面白さが増すものです。
でも、サッカー一筋の彼には生活上のなぜ?なんてこれっぽっちも思い浮かばない。
無回転シュートを物理学的に捉えたり、ボールの空気圧を化学的に捉えたり、ネイマールを生物学的に捉えたりするのは土台無理なわけで。
でも、さすがにそんな彼にも崖っぷちが訪れました。
テストの結果はそのまま来年のクラス分けに使われます。
このままだとヤバイ、来年みんなと同じクラスではいられない。という焦りが、「初めて」試験前一週間、練習を休んで勉強するという行動に走らせたようです。中間テスト、勉強時間0分で臨んで、当然の順位になったわけで。三者面談でも
「丸腰で戦場に臨んでしまった。次回は武器を用意します」
と先生に宣言していたからなあ。

あとは何か注意すべき点がございますでしょうか・・・。
「はい、一点だけ。下ネタはやめようか」
と先生にさわやかに注意されて、顔から火が出ましたけれどもね。

今日三者面談で下ネタやめてって注意されたよ、と娘に話したら、
「その注意はお母さんに対して? 福助に対して?」
というレスがきて、いやお母さんが先生に対して下ネタを振る訳ないでしょ!と突っ込みながらも、ああ娘の学校では先生との距離が近いため、特に意識せずに普通にお話ししていたりするかもと思い当たり、結局、この親にしてこの子あり、ということかと・・・。お父さんにその話をしたら超おもしろがっていたし。血だね。ギャグは血だね。
いかん、話がそれている!

で、夜はパソコンで勉強するのを勧めてみました。三日間連続で教科書丸暗記をしていたので、少しリラックスしたらいいんじゃない?と、楽しい暗記術のサイトを教えたわけです。
「よーし、地理はばっちり!なんちて」
という言葉を信じて、普段は帰宅すらしていない十時に就寝。今朝もがんばれー!と見送ったのですが。

今パソコンの履歴を開いてみたら、だだだだだっと並ぶお笑いのYouTube動画。小僧が漫才好きなのは知っているけれども、ついうっかりテスト前ということを忘れてしまったか。リラックスしすぎじゃね?
まあ、結果的には全部自分で背負っていかなければならないわけで。
テスト前はこんな風にすると点数がとりやすいよ、という程度しか、教えられないってことです。親はね。

あとは自分の失敗談だな。
科学誌を書くことになって、中学の理科から全部焦りながらやり直した日々を苦く思い出します。プロとしての面目がかかっているからそりゃあもう必死でした。
そうやって、大人になってからやっても・・・間に合うといえば間に合うんですよね。その中からすっごく楽しい分野を見つけ出してしまったので、未だに「ヒト」の特集のときにはテレビも雑誌も躊躇なく時間を費やしています。人類発祥のあたりから、人体の構造、病気、精神や心理的傾向まで。
英国自然博物館で見た恐竜に感動したのは、26歳のときでした。以来、博物館が大好きで、恐竜博もあれば必ず出かけていきました。今、仕事場の私の名札には恐竜がぶら下がっていて、たいていのインドア系小学生男子と仲良くなれます。
英語だって、23歳まで辞書など引いたことがなく、辞書を引くときにはABCの歌を歌わなければアルファベットの並びさえわからない。・・・あ、これは今もだ!
歴史も小学生の知識のまま大人になって、杉浦日向子の漫画をきっかけに江戸時代にはまり、今では寄席も歌舞伎もお着物も川柳も時代考証も、趣味はどんどん広がるばかり。応仁の乱が何年にあったかも知らないけれど、うちの書庫の江戸コーナーは充実しています。三味線と古文書に手を出しそうでちょっと怖いぐらいで。

結局、学校で習う勉強は適性の入り口をみつけるだけなのかもしれないなあと思います。
誰にも負けない物をひとつといわれれば、国語だけがずば抜けて得意科目だったことを生かして仕事に就きました。
中学高校時代は本当に全くきれいさっぱり勉強をしなかった。
私の一生分の勉強は小学生の時代に終わったんだと思っていました。
高校一年の一学期、数学と理科で赤点をとって「進級困難」の赤スタンプをいただき、どうなるんですかと聞いたら、留年するんですよといわれました。焦って勉強したらいきなり上位に踊り出た経験があります。すると先生からの扱いが突然かわる。それで少し面白くなって、テスト前はちょっとだけ勉強するようになって・・・あれ、福助と同じじゃん!
世の中をすねていた思春期の私には、やる気スイッチを押して見せることすらかっこ悪く恥ずかしいことでしたが、それでもとりあえず何とかなるものです。
今、楽しく勉強と関わっているしね。

得点が取れない、クラス替えが怖い。そんなこともしょせんは超短期的な話で、要するにコレ面白い!ということにどれだけであえるかということなんだなあと重いました。
面白い、もっと知りたい!と思える種目、そう思える友達、そう思える学科、そう思える仕事に巡り会うために、学生時代があるのかもしれません。

いや、そうはいっても、もちろん母親ですからものすごーく焦っていますけどもね。
今日も忘年会なんですけど、放っておくと「お笑い」見ちゃう小僧ですから、そりゃ見張りたい気持ちは満々です。鬼の形相で、早く帰ってこようと思ってますとも!!