演劇コンクールというのがあるときいて、それに出るんだ、全国制覇だという野望を持ちながら、地区大会の予選を勝ち抜くのがやっとでした。
もちろん、創部二年で、県大会出場。それはそれで私には十分すぎるほどの挑戦でしたし、県大会の大宮の舞台は心の底から楽しかったです。
私たちの作った「楽屋〜流れ去るものはやがてなつかしき〜」(清水邦夫作)は、戯曲を独自に割愛し徹底分析したものでした。作者の方にもこの省略は大変興味深いと言っていただいた自信作で、未だにとてもいい演出だったと自負しています。
後年、生瀬さんは絶対私達の舞台を見て参考にしたよね!とびっくりするほどよく似た演出の作品が、コレでした。
「楽屋」は目に付けば全部見ています。
その中でも、生瀬演出が最もよく似ていて、私と高校演劇部のメンバーはあれを見て、
「なんか私達ってすごきない?」と、嬉しくなったものでした。
同年、後に全国大会で審査員特別賞を受賞する秩父農高の「マクシミリアン博士の微笑」を見て、私は自分が演劇で食べていくことを断念します。
大好きな芝居を見ているのに、会場中がこんなにも大爆笑なのに、この悪意と敗北感で滂沱の涙を隠せずに座席に座っている自分を許せなかったのです。
大好きな演劇は、大好きでいたかった。
純粋に、ただ、大好きでいたかった。
なのに、私は大会進出の勝ち負けを意識して、ものすごく細かい演出技術のあらばかり探して、あらがないもんだから役者の技量に八つ当たりして、自分最低!な事態を味わっていました。
勝てない、と、初めて思った瞬間でもありました。
役者としては資質もそこそこわかっていましたから、この先の生きるよすがを演出家に賭けるつもりでいたのですが、秩父農高には勝てませんでした。
その挫折感は、今でも想い出すとうっすら涙が出ます。
関東大会は夢でした。全国に行くのだと思っていました。
でも、上には上が。
そう、それが現実。上には、いつも上がある。
自己実現とか、そういう熱血系四字熟語が頭のなかでグルグルしている女子高生でした。
年に700冊は本を読む文芸少女でした。
暑苦しくて、全身が敏感な、可能性に満ちた少女だった自分を、今、懐かしく思い出します。
私には、常に仲間がいて、その仲間を全身で信じていて。
私は、本当に幸せな、あやうくつくりものなのコレ?と疑うほどエピソード満載の青春を送れた、奇特な女子高生でした。
ラッキーだったと思います。
後年、車で母校を通りかかって、「演劇部関東大会出場!」の垂れ幕を見て、私は号泣しました。
悲願、という言葉を思いました。
ささやかなお祝いを送りましたが、あれは、なんだろう、自分の作った演劇部がここまで成長したのね的な、結婚式の花束贈呈みたいなのに似た感情だったと思います。
まさしく、運転席で男泣き、みたいな号泣でした。
演劇話はさておいて。
娘が、明日、関東大会に出場します。
彼女は弓道で。
でも、命懸けという点においては、あの時の私と同じ目をしています。眩しいぐらい、誇らしいです。
すでに国体・東京代表なわけで、私をかるーく凌駕しているのですが、私にとって夢舞台だった関東大会に臨む彼女の気持ちはいかばかりか、と思うと、私までドキドキします。
明日は6時に出かけるお嬢、5時に起こします。
私の高2の県大会の日も、朝、始発に乗りました。ねぇ、覚えている? さちこ、いずみ、あつこ。
鴻巣を「こうのす」と読むと初めて知った日でもありました。そのエピソードはどうでもいいけどさ。
お嬢は、本気で関東制圧を狙っています。
そのためにしてきたとんでもない数々の努力を、私はずっと至近距離で見てきました。これが、アスリートママの役得。
私は何もしていないけれど、明日はちゃんと、必ず5時に起こします。
お弁当を作ります。
朝、湧きいづる言葉をしっかり手紙にします。
予選は4射3中、その後の準決勝からは100%の皆中で上位に足がかりをつくり、そして、一騎打ちが始まる・・・。
明日は、また胃薬を飲んで、試合を応援してきます。
関東を制するのは、東京であれかし。
お嬢、がんばれ。国体東京代表、がんばれ。お嬢と同じ学校の仲間、がんばれ。この夏一緒に過ごした東京の国体B代表、ジュニア強化選手、がんばれ。
っていうか、みんながんばれー。
当たる当たらないはさておいて、自分の目指す究極の射を具現化できたらいいね。
明日、結果は、ツイッターで随時つぶやきます。
フォローされる方は、gloriayukoです。よろしくね。
明日、9時台から目が離せません。東京都武道館、アリーナのある方の特設会場です。
ああ、今日寝れないかもなー。というわけで、日本酒飲んでいい気持ち。これなら多分、寝れるな。
お酒飲んだらブログは書かない、と決めていたような気もするんですが、飲んじゃったらわからないです。そんなの。
この甘さが、私が関東大会に行けなかった最大の理由なんだろうな。
ストイックな、ちょっと禁欲的すぎるんじゃねと心配にるほど地味〜なお嬢でよかったです。