きっと神様が

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そんなわけで、ものすごい勢いで自転車を飛ばして帰ってきた。
ダイソーでシールになる紙を買い、チームカラーの画用紙を買ってきた。
今日は小僧の練習があるから、そこに選手ひとりひとりのステッカーを作って、持って行ってもらう。
同じもので、アイロンプリントも作ろう。
オリジナルの応援Tシャツができる。
一緒に戦う五年生選手の名前は漢字を間違えないように確認もした。
六年生は全員、空でも言えるわ。
このステッカーやアイロンブリントは、別に応援じゃなくても使えるし、そうご迷惑になることもなかろう。
画用紙は、私のうちわ用だ。
それを見た希望者がうちわをすぐに作れるよう、こちらも無駄を承知で全員分、用意する予定だった。

でも。

いざ印刷の段になって、プリンターが壊れたのね。
昨日の四時までは快調に使えていたのが、いきなりお陀仏。
なんで?

これはアレかな、神様とか仏様とかが「やめとけよ」って啓示してくれているのかなと思ったりする。
私はこういうお祭りみたいなのが大好きだが、そういうのがキライなサッカーママもいるだろう。
私が応援するのは、進路が確定していない12歳のサッカー少年たちだ。
以前、セレクションに落ちた経験から、あの時の凄まじい喪失感を知らないわけではない。あの時の、肩震わせて泣く小僧の顔は、今でも脳裏に焼き付いたままだ。これから来る明暗を、「挫折もまた成長の糧」などと笑えるまでにはどれほどのパワーと時間が必要か、よくよく知っている。雌雄を分ける今回の大会だからこそ、みな真剣に捉えている。集中している。
そんな時に、タレントのコンサートと勘違いしているかのような盛り上がりはどうなのよ・・・と、反感を買うかもしれない。
うちのチームは稀有なのかもしれないが、本当に親たちはサッカーをよく理解していて、もめごとが皆無だ。
コーチの罵声もなく、親たちは静かにビデオを取りながら観戦するし、勝っても誰一人乱れることのない、穏やかな祝勝会だ。
多分、区を越境して仲間に入れてもらっている私が、一番騒いでいる。それでも、地元で声を出していた全盛期の半分以下だけどな。
そんなチームだから、ステッカー作ったり、アイロンプリント作ったりするのは、もしかするとあまり歓迎されないかもしれないなあと、プリンターが壊れて初めて冷静に考えてみたりしたのだ。
私の行動は脊髄反射なので、「やろう!」と思った瞬間に体が走っている。
ステッカー程度なら、ノートに貼ったりしてもいいからまあ大丈夫かな・・・。文字、小さめにしようかな・・・。アイロンプリントはやめておこうかな・・・。画用紙でチーム名と選手名書いて渡すのも、やり過ぎかもな・・・。
吹き出していた汗がクーラーで冷やされるのと同じ速度で、やっと頭が少し冷えてくる。

緊縮財政だというのに、画用紙代300円。ステッカー用シート代100円。
400円あったら、松屋で一食分だったよ。

でも、わくわくしながら全選手の名前をタイピングしたり、活躍する布陣を考えたり、本当に楽しい時間だったから、よしとするか。
プライスレスな時間。

ああああ! 決めた。
都大会に出れたら、やっぱりみんなにシール配ろう。
どんなにご迷惑でも、嫌いなら捨ててもらえばいいんだし。記念になるかもしれないし。別に親御さんにどう思われてもいいや。選手が喜びそうなことは、しよう。

アウトリーチっておせっかいでうざくて、そう思われるの嫌さに、関係の距離を遠目にとってつきあうのが都会的なのかもしれないけどさ。私はうちの子はもちろん、一緒のチームの、どの選手のどんなプレースタイルも、大好きなんだもん。きっと、この「大好き」という思いに偽りがない限り、そんなに嫌がられないような気もしてきた。

というわけで、近日、プリンターを買ってこよう。その金額で、松屋でどれぐらい食べられるかは計算せずにね。
大丈夫、きっと財政の方は、神様が何とかしてくれる。正確には、相方が。
私も、今抱えているボランティアのprojectが終わったら、働こう!! 

あれ、相方がプリンターを分解している。何とかしてくれようとする、そういう想いがありがたいなあ。