だが、みんなうちわを持っていて、そこに書かれたメッセージは、そのままストレートにタレントさんに訴えるものだ。
中には「娘の婿に」と書かれたものまであって、そりゃあジャニーズの誰かが「お嬢さんをください」なんて来た日にゃ、突然人生勝ち組、我が世の春だろうなあと思う。特上のお寿司でもてなしたい。
うちの気立てのよさは最高だがいまひとつ器量にかわいそうなものを抱えるお嬢に、ジャニーズの誰かがやってくることはないわけだが、地道で早期の婚活として、デカうちわに「婿募集中、15歳」とか書いて扇いでみるのは悪くないのかもしれない。
小僧の応援に、自分でチーム名を書道で書いたうちわを持っていったことがある。
暑いから、というのが持参した最大の理由で、チーム名を書いたのは、画像がダサかったから、である。
でもこれが案外、小僧を喜ばせたらしい。
遠くからでも目立つわけよ。
うちわ振り回している親は少ないからね。
ジャニーズのコンサート用にうちわを最初に持っていって、メッセージを伝えた先駆者を、讃えたい。
天才だと思う。
ジャニーズ用うちわは、会場で目立つ形に進化しているので、炎天下のサッカーにその素晴らしいノウハウは今ひとつ活用できないが、今なら夏の終わりでいただきもののうちわもいくつかあることだし、また半紙を貼り直して、力強い文字を書いていこうかと思う。
サッカーは小学生最後の公式戦。東京では「さわやか杯」という名で、11人制になる。
背番号を切り抜いて、デコっていくのもありか。
いや、地味に地味に。
ただでさえうちの小僧のプレーは地味で、親でもピッチにいるのかいないのかわからないことがある。それなのに、デコうちわで悪目立ちしたら、そりゃあ監督に合わす顔がなくなるだろうよ、小僧も。
うちわの形に厚紙を切って、来週への準備に余念がない。私にはニノよりナニより、小僧なんだな。
私自身が小僧の大ファンなんだから、しょうがない。
母親って、こんなふうに息子を見ているのか。
そして、こんなふうに息子を愛していることを考えればね、それはもう義母になんか、かないっこないわ。
きっと義母、深い。夫への愛より、息子への愛。
世の男性は、みーんなこんな暑っ苦しくも溢れんばかりの愛情を注がれて育つわけね。
ジャニーズみたいなイケメンじゃなくたってね、ママ ラブズ ユー。