祈り

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食中毒を起こさないよう、水をよくよく手を洗って清める。
熱い炊きたてごはんでやけどしないよう、手をパンパーンと柏手に打って、麻酔がわりに。
そして、おにぎりを握る。お結びになるように、おくずれにならないように、結ぶ気持ちを大事に握る。
最後に塩を手にして、握りこむ。
ピカピカの塩むすびが出来上がる。
一連の動作は、祈りに通じる気がした。

今日、娘はちょっと気の張る場所で弓を引く。
だから朝練に行くといって、五時に起きた。
朝早い時には、塩むすびだけだ。
平日の学校にはお弁当を自分で作っていくが、土曜日だけは私が担当し、それなりに凝ったお弁当も作っている。
けれど、弓道の時には余計なおかずなどない、塩むすびをひとつだけと決めている。
凝った彩りの代わりに、そこに添える手紙が私の応援の気持ちだ。
今日は、半紙に墨で書いてみた。
でも、普通に小言を言いながら駅まで送り、いつもと同じように送り出すのだ。
いつもと変わらない。平常心。それが大事。

本当は見学に行くつもりだった。でも、やめた。
娘も望んでいなかったし、私がいることで気負ってもいけない。

小僧の試合も今日は流れて、練習だけになった。そのあと、チームでサッカーの試合を見に行くことになっているから、夕方まで帰らない。
相方も出かけていった。ここのところお出かけは仕事じゃない......というのがまあ多少不安だが、まだハローワークに通うほどではない。

PTAがらみのお仕事もとりあえずはゴールデンなウィークということで、今日、私は私のためだけに時間が使えることなった。

・・・うれしい。
・・・興奮する。

で、あまりに興奮しすぎて、美味しいコーヒーを入れたりして、結局二度寝のチャンスを逸してしまい、ぼーっと録画していた映画を見ていたらもう午前中が終わろうとしているのだった。
衣替えもしたいな。
模様替えもいいな。
まだ右手首が本調子でないので、あまり冒険はできないか。
マッサージに行こうかな。
お風呂屋さんもいいな。
ショッピングもいいな。
お金がないないな。

いっそ、昼からビール飲んじゃおうかな?。
グタグダ考えを巡らしながらも、チラチラと娘の出番の時間が気になっている。
「そのとき」に、ちゃんと祈れるようにしたいと思うと、昼酒はナシだな。

結局、自分の時間は、子どもたちのことで侵食されていく。
でも、娘の事を考えて過ごすのは「私の趣味の時間」なんだよなあと苦笑する。
ううう、ちょっとシャクである。