消える本

集英社がダウンロード制限を撤廃−電子書籍のこれから
というまとめサイトの記事を見た。

昨日、いつまで電子本はユーザーの手元にあるだろうか、ということを考えていた(昨日のうちに書いておけばよかったw)
漫画は特に大きなファイルなので、いつまでもキンドルやiPadに入れておかないだろう。読んでしまった本は、自分の本棚に置いておき、また読み返したいなあと思ったらいつでも読めるようにしておきたい。そのためにどこに置き場所を作ればいいか。
PCを使い慣れている人なら、パソコンの中に入れておいて、USBで充電しながら、たくさんある電子書籍の中から、手元のiPhoneなどに何10冊かを放り込んで持ち運ぶ。という形だろうか。
いや、ネット上に本棚があればもっと便利じゃね?
というのがクラウドサービスである。
通信でいつでもアクセスできる場所に本を置いておけば、家のPCに繋ぐまでもない。
アマゾンは一人ひとりのユーザーに5GBのエリアを作って、無料で使えるようにしている。

でも5GBって少ないんですよね。リアル本棚で言えばカラーボックスくらい?
(※文章だけの本なら容量が小さいので、何千冊も保存できる)
自分は家の中では2テラのHDDを無線で繋いで、いつでも自炊した本を並べた本棚にアクセスできるようにしているので、ネット上でもできれば500GBくらいの本棚があればなあと思ってます。5年もすれば普通にそのくらいできそうですけどね。
持っている本が安全に保存され、いつでも自動的に整理された本棚が見られる。それが電子のメリットの一つですね

それが突然消えて無くなってしまったら? 一定期間で消えてしまう本や、何らかの不具合で消えて無くなる可能性があるとしたら、そんなもの誰がお金を出して買うだろうか。
楽天koboに最初期待していたけれど、決定的にダメだと思ったのは、その前にやっていたRabooの電子書籍サービスをいとも簡単に見限って、そこまで買ってくれた人たちの本の資産をざっくり切ったことだ。(たしか6000いくら分までしか保証しなかった)
暴挙といっていい。三木谷氏は二度と本など売ってはいけない。英語を話せる手下と一緒に無人島に流されて蝿の王にでもなればよい。
自分は絶対に楽天で買い物をしないと決めた。

アマゾンは、たとえPCのデータが壊れて飛んで、クラウドの本棚が消えてしまっても、売買記録がある限り何度でもダウンロードすることができる。
でも、もしもアマゾンがつぶれてしまったら。
アマゾンがつぶれても、ここみそきちドットコムのサーバーが生きている限り、メールをくれれば漫画のデータはいつでもダウンロードできるようにしておきます。
これが言いたかった。
1度電子書籍で買ってくれた人に対しては、一生同じ本を2度買う必要なし。
将来マシンの解像度が上がっていって、HD画像で出し直すことになっても、今の読者の人には無料アップデートで読めるようにする。それは当たり前だと思ってる。
本当は紙の単行本の読者には、電書をタダで配りたいんですよ。すでに一度買ってくれた人だから。
これから出す本に、電子書籍ダウンロード権をつけて出せないだろうか。
難しいのは、立ち読みでDLされないように、一冊ごとにIDを割り振って管理すると、やっぱり将来何度もDLすることができなくなること。
本を買ってすぐに古本屋に売る人が大量に出てしまうこと。
などが懸念される。
まあ、それでもいいじゃないかなと思う。
「電子書籍のあけぼの」という漫画を描いた時、当時の小学館の鈴木雄介氏(現eBookJapan会長)は
「PCの人たちはすぐに鍵の発想をする。私は言ったんですよ。あなた方は客を泥棒扱いするのかと」
「立ち読みの子供を追い払っちゃいけないんですよ」
多少のコピーは宣伝のようなもの。と言ってました。
今から15年くらい前の話ですが、慧眼ですね。
鍵を厳しくするほどファイルは扱いにくくなり、普通の人が簡単に使えなくなって不便になる。
鍵を甘くすると、使い勝手は良くなるが、コピーが氾濫して製作者側に利益が戻らなくなる。
どのくらいにするのか。はネットにつきまとう頭の痛い問題である。
でも、最近は鍵をゆるくする、いっそかけない。という方向に進んでいるように思える。
コピーを厳しく取り締まるより、正規なもの安く買えるようにしよう、としたのがAppleの音楽の戦略だったことは有名で、アマゾンもその方向に進んでいる。
一方日本国内の状況は反対側に振れている。高い本にガチガチのプロテクトかけて、バックアップもとれない、別のハードに買い換えたらデータを移せない仕様にし、メリットをがんじがらめに縛って電子は売れないと言っているのはなんであろうか。そんなガラパゴスなものは三木谷氏といっしょに無人島に流してしまえばよい。100万年後くらいに変な英語を話すイグアナになっているかもしれない。
もっと日本の本好きを信頼したらどうだろう。使い勝手がよければ読者はかならず増えていくのだから。

現実的には、紙の本の最後あたりに100円で電子書籍が買える、というリンクをつけておく。というくらいでしょうか。
次の紙の本を出す時に考えます。
しかし当時最先端だった小学館が、最後まで消える本を出しているとはなあ...。

おかげさまで!

このブログに貼ってあるアマゾンのリンクから、いったいどれだけの人が飛んで買ってくれているのか。
アフィリエイトのデータを見てみた。
ちなみに1週間で「限界集落(ギリギリ)温泉第一巻」は約4000部売れたんですよ。すごいねえ。
そのうちブログから直リンで飛んで買ってくれた人の数。
さあ、どのくらいだと思いますか。
さすがにはっきり書いてはいけないと思うので、パーセントで。
全体に締めるアフィリエイトの人の割合は、じゃじゃん。
2.5%

少なっ!
いや数は結構多いんですよ? でもここから買ってくれた数の40倍も売れてる。
ブログを読んで興味を持った人より、「読んで面白かった」というツイートやRTのクチコミが効いているということですね。
そしてたぶん何より大きいのは、コミックを検索すると「ランキングの1位」として最初に本の画面が出てくること。この広告効果は恐ろしく大きいということでしょう。
逆に、一旦ランク外に落ちてしまうと、人目につかなくなってしまうので、安定して売れ続けることは難しいんじゃないか、ということが想像されますね。いきなり売れて、ぱたっと動かなくなるより、月々10万円くらいを安定して何年も続けてくれた方がありがたいんだけど、そうもいかないか。

キンドル直販で4冊の本をこれまで3週間ほど売ってますが、累計でなんと12000部を突破しました!
今足し算してびっくり。
そして利益が。なんと100万円を軽く突破しておりました! ひえええ。
これを最初に書くべきだったんじゃね?
もうでっかい字で、「おかげさまで12000部!」 と。
真っ赤な太字で
「100万円当たりました!」 と。
宝くじかっ。
文字を赤くするタグなんだっけかなw
気分はもう100万部売れたような感じですよ。いやそんな売れたことがないのでよくわからないですけど。

あと、ディアゴスティーニ戦略ですが、1巻に対して2巻、3巻、4巻はどのくらい売れているのか。
以前2巻に繋がった人は17%が22%に上がったと書きましたが、今は26%!
400円に上ったのに、続けて買ってくれてる人の数が増えているのはすごくうれしい。4分の1以上の人が繋がった。1巻がたくさん売れるよりずっとうれしいです。
そして2巻から3巻は同じ82%で変わらないんですが、4巻、最終巻は
96%

すごい! 最後まで読んでくれてありがとうございました。
こんなに売れると、次のを出すのが怖いね。
いや守るものなんかないからどんどん行きますけども。

ネットはロングテールか

Twitterで鈴木みそを検索すると、色々な意見が聞こえる。
エゴサーチとは、自分の名前をググることだが、あまりネットの評判のよくない作家は、編集者に「やめたほうがいいですよ」と自分の名前の2ちゃんのスレッドを見ないように言われる。らしい。
「鈴木みそ」
は昔からあまり評判の芳しくない漫画家であります。よろしくないのを知っているということは、よく検索しているということですね(笑)
ここ10日ほど、Kindle関係で話題になっているので、「鈴木みそ」や「限界集落温泉」に関するつぶやきが多いが、おおむね評判がいい。
好意的な書き込みだらけで、悪評をカットするフィルタができたのかと思うくらい。
牧歌的だった初期のインターネットを思い出す。

好評なのはまだ数千、という数だからであって、これが2万3万という単位で売れると、いつもの「みそバカしね」という書き込みが出てくるのかもしれない(笑)
信じられないことに、今Kindleコミック部門の1位から4位までを独占していまして、まあ一生のうちに二度とないことなので、今を十分満喫してますが。これほど(といっても普通の売れたマンガ本より3桁ほどオーダーが小さいのだが)「ギリギリ」が売れているのはどんな理由なのか考えてしまう。

●電子でマンガを読もうとは思っていなかったが、100円で買ってみたら意外と読めた。という人が多い説。
まだアマゾン書店は立ち上がったばかりなので、なんでもよかった。たまたまタイミングがよかった。

●マンガの内容とこのブログの書き込みが、リンクしているのが面白い説。
潰れかけた旅館と、ぱっとしないベテラン漫画家。というのが通じていると言えば言える。なにかネットで一発しかけてやろう的な話がリアルで進行している。というのが誘引になっているのではないか。

●本屋で注文するほど興味はない。けれども見かけたら読んでみよう。というファンが、案外多くいた説。
単行本を心待ちにしているファン、とまではいかないけど名前は知ってるし、面白いなら読みたいな。という人たちに、今まで届いていなかった。
なんせ本屋に置いてないから! 
大きな書店の店員に聞かないとわからないような、隅の方の下の段に最新の4巻だけぽつりとある。という状態ではなく、いつでも探せてすぐ買える。
小さなニーズを掘り起こせたのではないか。

本は「売れ残るリスク」がとても大きいので、誰もが売れる。と判断できるそつのない作品が、計算できるものとして大きく刷られている。
一部のファンに受けるマニアックな作品は、街の小さな書店では仕入れてもらえず、小部数になってしまう。
全国のどこの本屋でもあるようなメジャー作家より、癖っぽくて一部のファンしかいない、でも変わった面白い作品を作るよ? みたいな作家が電子書籍で脚光を浴びるかもしれない。
これまでの「メジャー」「マイナー」というカテゴリー自体がすでに古臭い気もする。

ネットはロングテールだ。と昔言われていたけれども、長い一本ではなく、たくさんの多様な尻尾を持っているのかもしれない。
ネットは九尾の狐だったりして。(たしかに化かされている人は多い)
もしそうなら、一部のファンだけに知られていた作品が、アマゾンで再発見されるかもしれない。3千人のファンがいたら、紙の本は作れないけれど、電子本なら小銭くらいにはなる。
作家には、実は隠れたファンが、今まで考えられていた数の10倍も100倍もいて、既存の書店ルートでは見えなかった需要が掘り起こせたりするのではないか。
2ちゃんによって個人のつぶやきが作家に届いて、作家の胃酸を増やすように、個人のニーズがまとまって届くことで、マイナーと言われていた作家の資産を増やしてくれるかもしれない。(韻を踏んでみた)
マスが小さくなることで、雑誌が潰れていく。という書き込みを今朝見たが、小さく分散することで、たくさんの作家や作品が生まれてくるとしたら、悪いことばかりじゃない。
鈴木みそが小さく売れているのは、実はその電子書籍時代の前触れなのだった。

だったらいいなあ(笑)
俺にとって今年が電子書籍元年です。
 「アマゾンでマンガを出版」カテゴリが長くなって、最初のエントリーが読めなくなってしまったので分割して新たなカテゴリ「アマゾンでマンガ(怒涛編)」になりました。合わせてよろしくお願いします。

順位が消えた?

キンドルランキングから「限界集落(ギリギリ)温泉」が一斉に消えました。
あれ? あれれ?
もしかして、昨日このブログで数字書いちゃったのがいけなかったのかな。
やらかしたか。せっかく勢いがついてきたのに!
と「限界集落」でキンドルストアをググったら、本はありました。
よく見るとカテゴリが「コミック」に変わっている。

KDPで本を作る時、「漫画、一般」というカテゴリしかなく、漫画で登録したのに一般書になっているのはなぜだろう。と思っていたことは前に書きましたが、KDPでは選べなかった「コミック」の仲間に入れてもらえたようです。
コミックのランキングを見たら、ちゃんと入っていました。1,2,4,5位に!
上位独占だ。
冗談としか思えないけど、ハードの立ちあげ初期にはそういうことも起こるということで。
でも、一般の本のランキングに入ってた方が目立ったからよかったんじゃないかと、少々残念でありますよ。
他のカテゴリは、例えば「歴史」でも「小説」でも「ノンフィクション」でも、そのカテゴリの中で順位が出ると同時に、総合ランキングに入ってくるものなんですが、コミックは別枠。それだけ売れる本が多いってことですね。
でもコミックカテゴリでも1位だということに驚いた。
じゃあ値段があまり変わらない「銭」は何位なのかと調べたら、「コミック」「青年」35位。
この本も本当は自分で出す予定だったんですが、先にエンターブレインから出てしまったので、様子を見ているんですが、今まではランキングに入ってもなかったはず。
今回「ギリギリ」を買ってくれた人が流れで読んでくれているんじゃないかと思ってる。
「銭」も1巻100円で売ればいいのにね。
eb!さん、キャンペーンやりましょうよ。こっちでやっちゃっていいなら、無料の「銭0巻」を作って巻くよ。
それはいいアイディアだと思った。
やることがたまってきて新作に手が回らないのも困ったことです。

なんとKindle本ランキング1位に!

予想外に売れている「限界集落(ギリギリ)温泉第一巻」ですが、さっき、うとうと昼寝をしている間にKindleランキングの1位になっておりましたよー!
ええー、なにそれ、すごくない?
ランキングは1時間ごとに変動するから、1位の写真撮っておこうかな!
kindlelank.png
昨日コメント欄で「自炊ノ全テ」をKDPで99円で出している佐藤貴明さんに教えてもらいましたが、「アマゾンは宣伝になるようないい数字については公表してもよい」のだそうです。
1巻が2400部売れているとか、2,3,4巻が合わせて1500部を超え、売上はなんと半月で45万円を超えたとか、具体的な数字を出して構わないということです。
1冊400円の本でも70%(マイナス通信費)のロイヤリティはでかい。ということがわかります。
1冊250円というのは、10%の単行本印税だと2500円の本を売ってることと同じだから。600円の本換算で(2,3,4巻累計で)6000部の増刷ということ。
まとめるとかなりの数字になるわけです。いやすごい! んがー! 興奮してるー。
有料の電子出版で1000部超えるとは夢にも思っていなかったので、生々しい数字ばっかり出してすいません。

このブログで「Kindleで出版するのは面倒だけど面白い」と書いていることも大きいでしょう。
見に来てくれて、100円なら買ってみようか。と思ってくれた人がたくさんいた、といいうことですね。うー、ありがたいことです。
今から買ってくれてもいいですよ?

もうひとついいニュース。
「僕と日本が震えた日」を出した徳間書店さんよりお返事が来ました。
個人で電子本を出してもかまわない。ただ、もしも徳間から電子出版物を出すことがあった時、併売できるような余地を残しておいて欲しい。
ということでした。出版社側の印税のバックもなし、データもそのまま使ってよいとのこと。
おお! 返事を待ったかいがありました。
法務と話し合っていただいていたようです。大野さん感謝です。
併売するためには70%ロイヤリティではなく35%である必要がありますが、70%の契約は3ヶ月ごとの見直しだったと思います。そのあたりアマゾンに確認をとって進めて行こうと思います。
※ロイヤリティによってではなく「KDPセレクト」に入っているのかどうか。が問題。「KDPセレクト」に加入することは同時に「アマゾン独占」を意味する。70%ロイヤリティで売るためにはKDPセクレトに加入しなければならないので、結果的にはアマゾン独占となる。
35%の場合はKDPセレクトに入っても入らなくてもよい。
近日電子版発売です。
紙の本をお買い上げくださる人はリンク先のこちらを!

Amazonで漫画を出版10

昨日ワインの勢いで書いたエントリー09は、我が家の家計をくっきり映しすぎているとヨメからクレームが来るほどでしたので、書き換えておきました。
書き直したら言いたいことが整理されてぐっとよくなった(と自分で思う)ので、続けて読んでくれるとうれしいです。

Kindleの印税は原稿料換算でいくらになるか。というのが昨日の話でしたが、これから先、どんどん原稿料は安くなっていくと思われます。
雑誌がやっていけず、漫画雑誌が減っていけば、作家は安くても描ける場所を探します。同時にネットではイラストをタダでもいいから発表したい。という人が増えていく。プロもアマもダンピング。
どう考えても原稿料が上がる要素がない(笑)

もしかしてあと数年後には、原稿料がタダになっているかもしれない。
冗談でなく。
そんな馬鹿な。タダで描く奴がいるか。と思うかもしれないけれど、そこから高額な支払いをする「タニマチ」なファンを囲い込むことができれば十分成り立ちます。
権利を高額で入札する「クラウドファウンディング」もその一つの形ですね。
最近では悪いイメージしかない「有料メルマガ」も。

紙の印刷物は高額なものになり、電子はタダに近い販促物。安く読んだ人は、お金をより払って紙を買ったり、SNSに入ったり、メルマガ買ったりする、というのが未来像なのかなーと考えてます。
岡田斗司夫さんが実践していますね。(実はそれが興味深かったので、去年1年間、年間1万円のクラウドシティに在籍していました)

といいつつも、有料メルマガのように、漫画が信者向けの広報になってしまうような未来は、あまり気持ちのいいものではないので、雑誌のように安く広くまかれるものに描くことはとても大事だと思うのです。
電子の雑誌。それがKindleとの中間にできればなあ。と思ってます。
そういうのを楽天には期待していたのに(笑)
ソフトバンクかauか、はたまた任天堂か。余裕のある企業が出版社に手を差し伸べてコンテンツの下支えを始めてほしいです。
「ビューン」は漫画サンデーを買い取ってしまえばいいんですよ。やってください孫正義さん!
※今日のAmazonリンクは紙の本の「限界集落温泉1巻」にしてみました。紙も元気に発売中です。

Amazonで漫画を出版09

アマゾンは15日閉めの翌月払い。
勘違いしてました。末締めで15日に前の月の支払いが確定する。という形のようです。
3連休でかなり売れたんですが、昨日今日でも勢いは衰えず、販売数の変化を飽かずに眺めては、むふふふと微笑んでます。
紙の本では、どのくらい売れているのか実感がなかったので、数冊でもリアルタイムで数字が増えているのを見ると、すごくうれしいです。
今この瞬間に誰かが買ってくれている!
サイン会以外にそれを実感したことがなかったので、これもネットのおかげだなあと新鮮な気分です。

4冊ともKindleランキング上位(1巻が4位、2巻が24位、3巻32位、4巻33位)
にいるため、オススメに表示されるせいなのか、販売数も日に日に増えていて、ここ数日は1日1万円を超えてます。
えええー、じゃあ、このままだと月30万円から50万円?
年間500万円超え?
だったらいいんだけどねえ(笑)

紙の単行本というのは出た時だけ何百万円という印税が入ってきますが、それが売り切れて次に刷るまではお金が入らない「先払い」が出版の基本です。
本が売れ残ったら金返せ。とは言われないんですが、その分売れ残らないように、そーっとそーっと様子を見ながら刷るので、売れる本はすぐに足りなくなってしまう。販売機会をロスしてしているのです。
電子は売り切れなし。
やっと、そのメリットをじわじわ体感してます。
ずっと「電子に売れなし」だと思ってたからね(笑)

1巻に勢いがつくと同時に、他の巻も動いていて、1巻から2巻は17%から22%にアップ!
2巻から3巻は82%で変わりないものの、3巻から4巻が84%にアップ。
最終巻に向けて、数値が盛り返しているところがいいですね。とてもいい!


前のエントリーに来たコメントで、「ギリギリ温泉4巻」は最後にページが足りずにバタバタした、とあとがきで書いているのですが、電子なら書き足せばいいんじゃないですか。というご意見が来ました。

ごもっとも。そうやって更新できるところも電子本のメリットの一つ。
でもね、マンガ描くの大変なんですよ。いやホントにね。
24ページ描くと寿命がちょっとだけ縮んだのがわかるからね(笑)
イラストを数枚かいて10万円とかだと、よし! という感じですが、マンガをきっちり描くと、ぐあー、つらい。逃げたい、死ぬ。と毎回泣きそうな気分です。(楽しんで描いている人が羨ましい)

という身も蓋もないことをかいてしまったので、ついでに大事なことを書かないと。
Kindleでぼちぼち儲かりそう。という空気になって来ましたが、じゃあオリジナルを書き下ろすことができるだろうか。
200ページはムリとしても、100ページくらいを書き下ろして、いくらで売ったらいいか。
100ページを1000円くらいで売りたいところだけど、それはムリなので、1冊300円。
で売ったとして、70%の印税で通信料引かれて正味62.5%。
1冊当たり187円。
1万部以上売って、ページ2万円の原稿料が出る計算。
原稿料を半分の1万円にするとペイラインが5000部。
電子の5000部は、大変にハードルが高い。
というわけで、まだまだ原稿料をもらって発表する媒体「雑誌」が必要なんですね。一旦原稿料をもらってしまえば、あとは売れただけ黒字です(元々赤字という概念がないので気分的なものですが)

ただ、雑誌はどこも赤字で、それを埋めるために「単行本」の売上によってなりたっています。月刊誌で雑誌の赤字を埋めるペイラインは「作家ひとりあたり単行本3万部」であることは、「銭」1巻で描いたとおりです。現状もあまり変わっていません。もっと悪くなっているかもしれない。
電子出版はその赤字を埋める大切な単行本売上を削りとってしまうものです。
出版社側から見たら、作家が「雑誌に描いたものを電子化して発表する」ことにいい顔をするはずがありません。
かといって紙の単行本で一律10%のロイヤリティに決めて動かさなかったように、電子出版も15%とか25%で固定してしまおう。というやり方は、作家側として納得できるものではありません。
出版社から出すなら、Amazonが3割を持っていった後、作家と出版社で残りを均等に分ける。そのあたりが落とし所じゃないでしょうか。
このあたりはそれぞれの作家と各出版社との話し合いなので、相場もなにもわかりませんが。
今個人で自由に出せるチャンスなのだから、ここはひとつやるだけやってしまおう。というのが自分のポジションです。

雑誌での原稿料が発生しない場合、どれくらい売れればいいのか。
単行本と同じ200ページを書き下ろすとする。
1冊500円で3万部くらい売れると、750万円くらい。
電子出版で3万部は、紙での60万部相当くらいですかね?(笑)
そこまで売れないと、出版社からの独立ということにはならないわけです。

ただ計算してみると、3万部でいいのか。と思えなくもありません。
70%のロイヤリティだからこそ、この計算が成り立ちます。
自分の単行本は初版3万部前後なので(最近は減ってますが)、電子で同じ数が売れれば、描きおろしできないこともない。
ハードが何百万台普及して、みんなが気軽に本を買うようになれば、なんとか電子出版だけでも食っていけないことはない。
あくまでも計算上で、モチベーションを維持できるのか、作品制作で行き詰まったら、話し合える人がいない不安などなど、たくさん超えなきゃいけない山はありますが。
Kindleに火が付けば、電子出版の可能性が再び広がるんじゃないかと思います。
行くぜ百万台。