ゲーム業界の方に、ご提案がございます。
マイクに向かって台詞をしゃべるゲーム、それが「しばいみち」。
難なくクリアし続ける母を、尊敬のまなざしで見つめる娘。
ええ、そうですとも。これ以外のゲームはほとんどクリアなんか出来ないんです。私は。
テニススクールでお茶を飲みながら、高校時代からテニスをやっていればよかった、私は演劇部だったので。と、ついうっかりカミングアウトしてしまったら、「女優さんを目指していたの?」と勘違いされた。おいおい、仮に高校時代にテニス部だったからといって、全員が全員、ウィンブルドンを目指せるもんじゃないだろうと思ったが、40代50代のお姉様がただったので、激しくは突っ込まない。
確かに高校時代の部活動は、文化部と名乗るのが恥ずかしいほど、体育会並みの運動量でしたし。
マラソンに発声、他校との交流練習会、早朝と深夜までの活動、合宿……部員の皆さんごめんなさい。私はあのとき、確かに演劇中毒だったんだと思います。そんな私につきあわせてしまいました。他に光り輝く青春もあっただろうに。懺悔、懺悔。休日はバイトか、劇場巡りで、私は大変、幸せでしたけれどもね。
それで、彼氏ともごちゃごちゃあって、ものすごい量の本を読んでいて、あのころってなんでそんなに時間があったんだろう? 時間の貯金が出来たらなあ。きっと、してないけど。
そんな話はどうでもいいや、一番いい時期に私はテニスをやらずに、演劇なんかをやってしまっていたわけです。で、今残っている財産は、腹式呼吸と早口言葉ぐらい。早口言葉なら、スマッシュを打つより、ポーチボレーに出るより、確実に上手に決められます。ああ、あのときテニスをやっていれば……!!
いや、だからさー、そんな青春の蹉跌はどうでもいいんだって。ご提案はどこにいったんだ。
ゲーム「しばいみち」にね、「あめんぼあかいなあいうえお」という発声練習が出てくる。北原白秋の詩で、演劇をかじったことがある人なら必ず音読したことがあるものです。これをP子が読んでいたら、福助が真似した。「あいうえおーっ」とか、言うわけね。
これは、すばらしい!! すばらしい練習になってます。
発音に難があるのよね、うちの息子は。
で、ここはひとつ、構音障害を抱える子供用に、簡単な日本語をしゃべらせる「しばいみち・兆し篇」とか、作っていただけないだろうか。あめんぼアリ、あえいうえおあお、あり。早口言葉あり。色の名前あり、ものの形あり、ご挨拶あり。で、クリアすると、派手にぐるぐるトーマスが回ってくれたりすると、息子はきっと大喜びだわ。トーマスは版権の問題があると思うので、人面機関車ヤプー(仮名)でもよし。ゲームからの物体Xでも、自閉症の福ちゃんでも、キャラはなんでもいいです。
難聴の子供の発語練習にも使えます。
外国人の日本語入門にも使えます。
外国語版ボタンを押して、英語の発音でクリアするとナンシーとローラが(誰?)チアリーダーの格好で踊ってくれたりするの。ああ、今スーパーボールの最中なもんで。早期教育を目指す英語大好きなママたちが、ミッキーのシリーズとともに購入するかもしれません。英会話業界は、お宝の山ですぜ、だんな(もみ手)。
英語はともかく、「社会的福祉的貢献」を御旗に掲げたゲームは、行政の関係者も購入するでしょうから、結構な数がはけるはずです。いかがでしょう? 企画書、書きます、プレゼン行きます。……ってさー、主に主婦が訪ねてくるサイトで、こんなことを書いていてもダメか。うーん、国語の苦手なお子さんを持っているお母さん、外国人のみなさん(は、この日記を読まないだろう)、難聴・構音障害を抱えているお子さんを持つお母さん、そういう教材があったら、どうですか? 使ってみたくないですか? 反応がよかったら、ゲーム会社にお願いしにいこーっと。
上級編で、外郎売りの口上が入っていたりするとうれしいなあ。演劇をかじった人なら必ず一度は練習する、歌舞伎の台詞のひとつ、早口言葉のことです。私の唯一の隠し芸だったんですが、これがものすごぉぉぉぉぉく久しぶりに口に出してみると、かなり、忘れちゃってるの。で、ネットで探して、ちょっと口にしてみたら、今度は驚くほど口がまわらない。何となくくやしいので、もう一度、練習してみようかしらと、ちょっと思ったりしたのでした。