長崎国体へ1

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直撃決定で、13日九州行きは欠航の通知。
九州内、移動不可。特に島原は海沿い。
頼む、ふらんしすこ。いいえ、神様。
すごいピンチ。
まさか、大学弓道に未練なく決別し、弓を置くことになったお嬢の、最後の最後の闘いを見そびれるのか?
最後に、史上最強の敵・台風って。どれだけドラマティック。

一族をあげて応援ツアーだったはずが、一族の大半は山の民だったため、キャンセルになった。
土砂崩れだ通行止めだ鉄砲水だとリアルに生活に影響がある。
九州から帰ったら道がなくなっていた、家が埋もれていたというのではシャレにならない。
災害のときにはおとなしくする。それは、豊かな自然環境の元で敬虔にいきている山の民の宿命だ。
だが、私は自然破壊して作り上げた都心に住んでいる罰あたり、何をどうしてだって、応援に行きたい。
だって、最後の全国大会だし。
そのために、どんな苦労をしてきたかだけはよくよく見てきたつもりなので、全国制覇ならその瞬間に立ち会いたいし、自分の射が引けたときにともに喜び合いたいじゃないか。

お嬢からもらった電話で今日、それとなく親族一同のキャンセルを告げた。
ひいと息を飲んで絶句し、
「今、それ、言う?」
と黙り込んでしまった。
「あのさ、お嬢。聞いて。予選通過ばんざーい。実は応援に来ていない〜。がっかり〜。その気持ちのまま本戦〜。ってのと、どっちがいいか考えて、今お伝えしたんだけども、それでもダメだった?」
とお嬢におそるおそる聞いてみたら、
「そうか。そうかも。うん、おばあがきていたら、いいところを見せようとして気負ったかも。よし、わかった。いい方向で考える」
という答えが返ってきた。
・・・強い。

弓道の理念のひとつに、「発して中らざる時は、すなわち、己に勝つ者を怨みず。反ってこれを己に求むるのみ」というのがある。
誰かと戦うのではなく、常に己と戦うという、己の中にだけ敵がいるという競技は、強さましましなんだなと痛感する。
海外ではメディテーションとして紹介されているのだとお嬢からきいた。
お嬢は瞑想の途中で爆睡してしまうタイプだが、それでも、厳しい稽古と連戦で、それはそれは精神を鍛えてきたのだろう。
弓道で培われた個性は、弓道以外の局面でも活きる。
お嬢がきっぱり潔く、実に切り替えが早いのは、部活で培われたいい性質なんだろうなあと思われ、そんな風にご指導くださった顧問の先生方に頭が下がるばかりだ。国体が終わって、お嬢の部活引退の日には、ちゃんとご挨拶に行こう。・・・向こうで宴会しているかもしれないけれども。

さて、旅行の準備もぼちぼち。って、もう二時過ぎているじゃないか。うわー。
この準備の悪さが、確実に遺伝していて、そのためにお嬢にもろもろ不具合が起きたのだとすればそれは申し訳ないような気がするけれども、こればっかりはサルと別れた何百年も前からのDNA脈々、仕方ないよねと開き直りたい気持ちもある。
でも、言い訳しない。
すべては自分の中に。
うん、それが弓道、っぽい。門前の小僧だけれど、習わぬ弓道教本は読み込んでいるわ。

さあ私たちは果たして無事に飛べるのか。さらに無事につけるのかどうか。
波乱含みの九州ツアー、スタートします。どんとミスいっと!