5月病が教えてくれたこと2

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小僧がサッカーに、お嬢が弓道に、お父さんはお仕事に・・・というこの全くお休みっぽくなかったゴールデンウィーク後半、私は何をしていたかというとひたすら眠っていました。
途中ちょっとピクニック気分で大会を見に行ったり、お弁当を作ったり、車出したりはしたけれど、あとは寸暇を惜しんで寝ていました。
いくら寝ても、怖いぐらい眠れる。
もう体の欲するままに、貪るように寝たわ〜。
この過眠はうつの初期症状じゃないかと、一応精神医学系を勉強している学生としては疑ってかかったりもしました。
もちろん女性ホルモンが大暴れなんですから、脳内ホルモンだけきっちり正常ということもないだろうと懐疑的にもなります。
ホルモン乱気流の波には抗わず、頑張らず。というのが一番の解決策。
あとは食べられて、おひさまにあたって、歩いて、ちゃんとお風呂を気持ちいいと感じられていればまず大丈夫だろうと、素人判断するわけです。まだ資格ないから、あくまでも素人の見立てですがね。
もしも「脳内汁」が分泌しすぎちゃったり、枯渇しちゃってたり、うまく受け渡しができなくなってたりの精神的疾患につながりそうな故障があったとしても、これだけ本能をむき出しにして休めていれば、そうそう大事には至らないなと判断しました。
それでもやばいかなー、と思ったら心療内科か精神科に駆け込めば多分、初期の脳内ホルモンの交通渋滞は薬で割とたやすく解消しちゃうので、ちゃんと様子見て対処します。もしも私より派手な乱気流に飲み込まれている方がこれを目にしていたのなら、病院もお薦めよ。

夫が逃げない程度に。
子供が死なない程度に。
上手に手を抜いて、健康を保つのも主婦の知恵だわ。
更年期の今、子供は死なないどころか、もうあんまり母親の手を必要とはしていなかったりして、むしろそっちのほうが問題だったりするのでした。

このホルモンの暴走っぷりは、正直、子離れに起因しているのだろうなあと思い当たりました。
「おかあさん」という仕事にジョブチェンジしてから18年、専業で母親業を堪能してきた仕事人間には、中高生で基本的に自分のことは自分でやれるようになっちゃった子供の親離れの時期が耐え切れないほどに寂しいのだと思います。もう、両足踏ん張って、「さみしい」とか絶対に言わないようにしていますが、引退の時期が近づいているってこんな心境なんだと思います。

柱の傷は一昨年の 五月五日の背比べ。
毎年、子どもたちの背を柱に刻んでいるのですが、引っ越してきた時にはやっと私のお膝を超えた程度の娘が、私よりもずっと大きくなりました。ちいさなちいさなてのひらをぎゅっと握って、ゆっくり歩幅を合わせて歩いた日々は幻だったのか、彼女は今歩くときに私を歩道側に立たせ、長い足で、私に歩調を合わせてくれます。背も測れなかった赤子の小僧は、まだ背こそ私を追い抜けませんが、買い物の荷物を全部持ってくれるようになりました。
成長は祝いでいます。
もちろん、嬉しいです。
部活に命をかけているふたりの姿勢は自分の青春時代とも重なり、どんな映画を見るよりどきどきわくわくさせられています。
でも、そのスクリーンで私は、主人公じゃないんだよなあ。当たり前だけど。
指揮者だった私はもう指揮棒を振ることもなく、観客席でただただ子どもたちの演奏を聞いているわけで。もう、私の指揮は必要なく、彼らには彼らの世界で見事に自己を表現できるようになっています。よかったよね。がんばったよね、私。
......いや、そんな言葉より本音を言っちゃおうかな。
寂しいです。
とてつもなく、寂しいんだ。

そのあたりの気持ちの上での悪あがきが、きっとホルモンのテロの起爆剤だった気がします。まだ私は若いんだ!というね、子供だってその気になれば産めてまだまだ育てられるんだ!というね、形がいびつになってますけれども、私の中の司令塔が送る、最後のエールだったのかもしれません。
そう思うと・・・
寝てなんかいられないわ、私がなんとかしなくちゃ!という出番も意気地もすっかりなくなって、たっぷり寝てしっかり元気を取り戻す。
そんな好循環すら、なんだか寂しさに拍車をかけるのでした。

明日からは普通の日でもあるので、また普通に戻ります。
そうそう寝てもいられない。
やるべきことはたくさんある、というのが救いでもあります。
去年貧乏すぎて干からびそうだったところに、恵みの雨が夕立のように訪れたのも、事後処理がたくさんあってありがたい限りです。まだ、相方の秘書として、家事マシーンとして、仕事は山積みでした。
承認欲求とは別に、誰かに「必要とされること」ってすごく大事だったんだなと通関しています。

親ってさ、簡単に圧倒的に必要とされちゃうから、それだけでバリバリ前進できたんだけど、任務が終わる頃にちゃんと自立していることまでは考えていなかったんだよなあ。ここからしばらくはそんなこともテーマにいろいろと考えて行きたいなと思います。