カーネーションの糸子さんに学ぶこと

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毎年、遺言状を見なおしているのだが、すごいことに2002年に書いた気持ちと今と、全く変わらない。
流れ星を見ても、お宮さんで手を合わせても、教会でお祈りするときも「現状維持」の四字熟語が大きく飛び出してくる私である。
欲張らない。
幸せのハードルは低め低めに設定しておく。
P子は義務教育を終えて、親としての義務も半分ぐらい果たした気がする。
今、仮に命が尽きてしまったとしても、私は目一杯幸せな人生だったと、天国でも自画自賛すると思う。

時間は残酷で、時折老いを強く意識するようになった。
私の首の脊椎管は部分、部分でとんでもなく細くなっているから、左手は不器用のレベルから限りなく障害に近い状態で、いよいよ飾りに近い。
そこから派生する痛みは、年寄りなら誰でも自然に発生する加齢臭ならぬ加齢痛なのだろうと思う。
NHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」の第三部のテーマが「老い」であり、私は第二部よりもずっと夢中になっている。更に首を痛めそうな勢いでうなづき続けている。糸子さんの72歳までにはまだ四半世紀あるはずなのだけれど、共通項が多いのはどうしたことか。
そういえば、栄養豊富な猿は老けるし不健康だが、カロリー制限した猿はアンチエイジングで長生きという実験があった。
この腹回りにたっぷりついた贅沢にして豊かすぎる肉の塊が、私の時計を早く進めているのだろうか。
でも、相方が断食までしてサナトリウムに入院しているかのようなこけ方の『健康オタク」と化してしまったから、ふたりで痩せていったのではこう、ただただ貧乏くさい気もするわ。
血圧もコレステロール値も健康そのものなので、しばらくはこの重くて舵取りしにくい体も私の一部として愛していこうと思う。
カーネーションでは、前向きなイキのいいセリフを、たくさん吸収して心の栄養にしようと思う。
子育てが終わっても、寂しくなんかならないのだ。大好きな人たちが私のもとを去ってしまったら、大好きが一杯すぎる贅沢に泣きながらも、新しい出会いを求めていった糸子さんのように、私も脳みそをフル回転させて、新しいことを知る喜びを探していくのだ。
私の好奇心だけは、きっと衰えることがない。
おもしろそうだと思ったら、まず出かけていく。
この行動力の源流さえ失わなければ、多少の痛みなど気力で封じ込められると思う。
更年期障害の兆候が心身症状に現れているのだが、とりあえず敵を知ることから始めて、この戦いに勝とうと思う。この敵を知るための知識もまた、興味深い。

老いは未知だったから、怖かった。
でもちょっとずつ知ることで、きっと怖くなくなる。カーネーションは、素晴らしい老いの教科書だ。
たくさん知ることは、怖さをきっと軽減してくれる。私は臆病だから、とにかくたくさん知りたいと思うのだ。準備しておきたいのだ。
現状維持を願いながらも、低下する収入、体力、知力。
それに見合うだけの経験と器量と知識をゲットして、トータルでトントンになる、現状維持を続けていきたいと思っている。