どぼぢでどぼじぢで。
と、アテレコしたくなるようなしぐさ(@風大左右衛門/いなかっぺ大将)で、コーナーキックに向かう。
走らない。しかも、試合中なのに、足が止まる。うわー、こんなん、初めて見た。
本日、小僧のサッカー、キレテナイっすよ……。
もちろん得点ができないばかりか、ボールタッチもほとんどなし。せっかくドリブルを奪っても、すぐにパスしてしまうし。
体が自分の倍もあるような大男達とサッカーするのは、そんなに怖いもんなんだろうか。自分がずーっと大女できた私には、今ひとつ想像ができない。それとも「小学生」に、改めてびびったのか。
練習中、一通りチームメイトのお母さん達からご挨拶をされる。その度毎に「幼稚園なんですか?」といぶかしげな定冠詞がついて、体育会系体質の私は「後輩の分際で私からご挨拶せずに申し訳ございません」と思う。ぼのぼの並の汗をかく。「いやうちは7月の味の素スタジアムの試合に出たらとりあえずここはやめようと思ってるんでそんなに親しくして頂かなくても」ともいえず、お菓子を頂きつつ、平身低頭。
練習前、公園でウォーミングアップをしていたら、この地域ではお金持ちしか入れない、英才教育をするサッカークラブに所属しているという少年が、すがすがしく福助に声をかけてきた。
「君、サッカーやるの? じゃ、シュートしてごらん」
……ストリートファイトならぬ、公園サッカーバトル。10本中3本しか入らない福助。
「君、いくつ? うまいね、でも、それじゃあ簡単にとめられちゃうよ。フェイントって知ってる?」
と、その9歳の少年は丁寧に優しく基本動作を福助に教えだした……天使か? サッカーの天使なのか?
しかし、福助は、なんとなくフキゲンになっていった。30分ぐらい、それでも一緒に球を蹴っていただろうか。彼が帰るときには「ありがとーっ、さよならー」と大声で見送っていたあたりは福助もスポーツマンだったが、あきらかに顔色が変だ。
「挫折」と、頬に大書してあった。負けた、のだ。自分が、自分と大して背が変わらない子どもに、技術的に大差で初めて完璧に負けたのである。おいおい、君は二年、相手はキャリア五年のベテラン(しかもエリート)ぞ。といっても、「屈辱」と今度は文字が変わっていた。
この辺りが、この人、つきあいにくい。一体、どれだけ自分を過大評価していて、どれぐらい負けるのがいやなんだ。人は負けを知って強くなるんだ。って、オレは演歌の人なのか。
この近隣はサッカーに関して選択肢が多く、福助の所属している週一のコレは、かなりゆったり初心者向きである。上手い子もいるが、大きくなれば別のFCに入っていく。先生が福助を小学生組に入れたのも、それでついていけるのも、そういう事情なんだが、福助としたら自分は小学生とも体以外は互角なんだ、ぐらいに思っていたみたいで。
そして、時間になり、練習こそしっかりやっていたものの、試合は全く覇気がなかった、という……。
終了後。
「やる気、ないなら、やめよう」
と、言ってみた。オヤジは厳しいのだ。オレはまだ一応、女だけどな。
「ある。あるけど、早く走れないから」
「だからさぁぁぁぁ(切れる)。できないことを並べて、できないできないって言い訳してたら、永久にできないんだよっ。できなかったら、どうやったらできるか考えろよ!!」
鬼コーチ、炸裂。どうしてこうかなあ、自分。「にんべんのかつを節」と書かれた青いTシャツ着て、何威張ってるんだろうなあ。アクが強すぎる。
「……ごめんなさい(と、勘で謝ってみる福助)。じゃあ僕、どうしたらいいの?」
「んー。謝んなくていいよ。まあ、とりあえず、走れ」
そして自宅まで1キロ半を走って帰り、とりあえずそこの頑張りを絶賛して、今日はおしまい。
「50本だけ、シュート蹴らせて」
というのでつきあった。
将来が楽しみですね、Jリーガーですか。という嬉しい褒め言葉を、ここのところ何度も聞く。自分でもちょっと夢見て、夜中にこっそり、「トレセン」なんてググってみたりもした。ああ、バカバカ親ばか。しかし、今日わかった。多分この性格では、無理だった。
それでも、サッカーを通じて仲間ができるのはすばらしい。サッカーがコミュニケーションの武器の一つになるなら、このまま見守っていこうと、そっちの方で覚悟を決める。本人は「ブラジル人になる」と決めているらしいので、それもまあ現状維持のまま見守りたい。
ああ、あやうくこのブログを「息子をJリーガーに育てよう。サムライへの道2006」(仮)とかにしてしまうところだったわ。早めに気づいてよかったよかった。ああ、謹んで自戒しよう。
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