鈴木蓮は18歳、高校3年生。
マンガ家鈴木みその息子です。
ええ? っと思われるかもしれないんですが、なんと。
年が明けてすぐ1月3日にスペインに旅立ちます。プロサッカー選手を目指して。
▲身長は現在182センチを超え、まだ少し伸びているらしい。
https://twitter.com/Soccergeek2000?s=17 (蓮のツイッターアカウント)
@Soccergeek2000
昔から鈴木みそ作品を読んでいる人は知っていると思いますが、物心ついた頃からずっとサッカー一筋小僧だった。
小学5年生のとき、東京の強豪町クラブである三菱養和巣鴨ジュニアに入団し、トレセンでも頭角を表して、東京代表の55人にも選抜されていた。
親戚の子供がめっちゃサッカーやってるらしい。というくらいの感覚で読んでくれたらいいなと思って書いてます。
ポジションはフォワード。
順風満帆と思ってジュニアユースに進んだものの、中学世代は細く身長も伸びず、ベンチを温める期間が長かった。
ガンバでプロになった中村敬斗選手は同期。
ベンチを温めているより、試合に出られるチームに行き、自分の力で貢献したい。得意の英語も伸ばしたい。ということで、駒込高校国際教養学科を選択。
ここでにょきにょき背も伸び、走れるトップとしてプレイも安定。2年半の部活動をバリバリこなした。
まさに今お正月の高校選手権の真っ最中だけれど、あそこで活躍している選手の中でもプロになれるのは5,6人しかいない。高校卒業してすぐにプロサッカー選手になるというのは、とてもとても狭い門だ。
あるいは、プロチームの下部組織からそのままプロになる人もいるが、これも極めて少ない。
そこで、本人はアメリカに行って大学に行きながらサッカーをする。という選択を出してきた。ええー? アメリカ?
サッカーを特技とみなせば、奨学金がもらえる可能性がある。
アメリカの短大で英語を身に着けて、4年制の大学に編入。就職も英語圏で。運が良ければアメリカでプロを目指せるかもしれない。
たしかに面白い選択肢だけど、どうなんだろう。
オレはずっと子供の進学には口を挟まないで来た。
以前娘が高校3年生の時にこんな選択を用意した。
「大学に行くのはかなりお金がかかる。4年で800万円くらいかかる。今の世の中大学卒業しても将来が見えるわけじゃない。現金で800万円やるから、大学にいくなり、それを持って4年間海外に遊びに行くなり。好きにしろ」
これをツイートしたら当時めっちゃバズったので覚えている人も多いかもしれない。
娘はものすごく悩んで、大学進学を選んだ。
まあ根っこが真面目なタイプだからなー、と思ったが、今は漫画界が変革期で800万なんて現金を用意できない。
すまん。今まとまったお金がないので用意はできないんだけど、ちょっと言いたいことがある。と息子を呼んだ。
それが半年前、2018年4月の家族会議だ。
「アメリカの大学は、サッカーと英語と2つをいっしょに伸ばす狙いなんだろうけど、オレは中途半端だと思う。
趣味としてのサッカーならいいけれど、一生サッカーをやりたいというならアメリカじゃなくてヨーロッパか南米じゃないかな。
大学は30歳過ぎてからでも行けるけど、もしもサッカーのプロになりたいなら18歳からの2年間アメリカにいることはなんのプラスにもならない。二度とない貴重な時間をどう使うか考えないと」
蓮は神妙な顔つきで聞いている。
「ヨーロッパのサッカー留学情報を自分で集めてこい。生活費は家を売ってでも数年は出してやる」
そこまでぼんやりしていた蓮の目つきが明らかに変わった。
一気にいろんなものが動き始めた。
たまたまソサイチ日本代表(そういうのにも出てました)でタイの大会に出た中学時代のエージェントがヨーロッパ方面に明るかった。
個別でアポを取り、会社に徹底的に説明してもらって、モンテネグロのプロのトライアルと、スペインのカンテラ(19歳以下の教育リーグ)にトライする案を出してきた。
よしやれ! とりあえず行ってこい。
1ヶ月、まずはスペインマドリッドへのトライアルに送り出したのが8月のことだった。
そこで信じられないことが起きた。
【続く】