単行本が出ることになったのだが、前途は多難なのだった。
これまでの話→「てんまでとどけ」裏の話1
「それで部数なんですが」と編集長が顔を寄せる。
ゴクリ...。
「みそ先生はどれくらい出ると思いますか?」
うーん。そこは難しいところですよ。
値段がねえ、1400円するから、普段の倍でしょ。
普通の単行本は3万部出てたんですが、最近は2万部がいいところ。
なので、ぐっと減って1万部。と言いたいところなんですが...。
「...言えないんですか」
この前Kindleで「マスゴミ」が出たんですよ。
「限界集落温泉」の1巻は電子だけで1万7千部超えたんですけどー、えーと、話題にもなったんで、かなり行くと思ってたら...。
これ数字言えないんですがw.ギリギリ3桁のところで。
そんなもんですよ。
380円で3桁ギリですから、1,400円の本はどれくらい行くか、と考えると...、
相当厳しいですよ。
「話が違うじゃん」
編集長が元担当編集をじろりと横目で見る。
「いけますいけます。現にまだ全然宣伝してもいないのに、100を超える予約が入ってます」と風呂敷を広げる元担当。
それってここのブログから飛んでくれた人じゃないだろうか...。
それってここのブログから飛んでくれた人じゃないだろうか...。
でもここは行くしかない。
ネットのお客さんは多いですよ。今年の頭の勢いはすごかったですから(笑)
今もそんなに悪くはないですよ。もし本屋さんに撒けば3,000から5,000部ってところじゃないですかね。
「3,000ですかー...。うん」ちょっと表情があかるくなった編集長。
「これは受注生産なので、予約がたくさん入ればいいんですが、少なかった時がやばいわけです。あと、印税をちょっと変えます。
3,000部までは従来通りの10%。それより売れたら税率をアップして...」
おお!そこが変わるのか!「30%?」
ぶほっと飲み放題の珈琲を気管につまらせる小林編集長。
「そんなにあるわけないでしょ。13です13%」
瞬間的にiPhoneの電卓をたたくオレ。3000×1400円×10%で。
42万円。
1400円の本を出しても3000部だと42万円しか入らないのが現実なのだった。
5000部売れた場合は、残りの2000部×1400×13%
36万4千円。合わせて78万4千円。
うん、これならなんとか...。というレベル。
でも5000部売れるだろうか。全国の本屋さんに並ぶ、というのは宣伝としては大きい。滅多に並ばない作家ですけども(笑)それでも見つけてくれる人がいるから数はそこそこ出る。
それが無しでネット予約だけだと、どう出るか...。予約ってだけでハードルは高い。
「ぶっちゃけて言いますと」と編集長。
「採算分岐点は2000部です」
2000部かー。そこより売れないとそれは大変なことですね。
「なんとかそこはキープしていただかないと」
カチャカチャとペペロンチーノを口に運ぶオレ。あっ。そうだ。
このやりとり全部ウェブで書いていいですか?
「え?」
ぶっちゃけましょう。採算分岐点2千部(笑)
「あー、まあいいですよ」
さっくり認める編集長。隠すものは何もないという感じ。
しかしここで編集長がとんでもないことを言い出した。
「それで、描きおろしのカラー26ページですけれど」
はい?
それはウェブの誤植なんじゃなかったんですか?
マジで?
「はい。やっぱりカラーは必要でしょう。それに表紙の打合せを」
ちょ、ちょっとえーとえーと。
表紙はもちろんやりますが、カラーの描きおろしは。それいつまでで?
「今月いっぱいくらいで」
今度はオレの鼻からペペロンチーノのかけらが飛び出した。
そ、そんなもの1ページも描いてる時間ないですよっ。
次号へ続く
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