Amazonで漫画を出版08

cover4.jpg「限界集落(ギリギリ)温泉第四巻」Kindleで発売になりました。

昨日、Jコミの新年会に行って来まして、初めて赤松健先生と会って話してきました。
めちゃくちゃ面白かったんですが、詳細はまた今度。

「電子出版物がいかに売れないか」
というのは、一度でも電子書籍を出したことがある人はみんな知っているわけです。笑うほど売れない。
時々集英社から振込通知が来ますが、3円とか12円とかの数字が並んでる。
明治時代の円かよ。というほど。
支払いが1000円超えたら「すごいね」と言われるのが電子出版です。
いつかは紙の本に取って代わるだろうけど、まだまだ近いうちには電子の時代は来ないだろう。と思ってる人が多いので、ますます電子化は遅れていて、毎年「電子出版元年」を繰り返してます。去年元年でしたがリセットしてやり直し、また今年は元年。なにをしてけつかんねん。
などということを4,5年繰り返しているのが現状ですね。

そういうボロボロの電子書籍の中では、Jコミは頑張っていて、コンテンツを無料で配って広告をクリックしてもらってその広告料を作者に支払うというアフィリエイトモデルで、他の有料電子書籍より多額の支払いをしている。
多額といっても、それはそこ。千円ですごい、という世界ですからそれほど多い額ではありませんが。

みんなに「アマゾンで直販始めましょう。印税7割ですよ」と言ってまわっても、あまり反応が芳しくない。
お金じゃ動かない。というのも漫画家の大きな特徴で、腐るほど銭を持っている人がいて、そういう人は金にむとんちゃくなのはわかりますが、あまり無い人も、お金はどうでもいいと思っているらしいです。

そんなことを書いている自分すら、いわゆるお金で動くタイプではないのでそのあたりはよく分かるんですね。お金をゲームの対価として細かく分析するのが好きなだけで、印税の率よりも編集者との信頼関係の方が大事だと思ってるわけです。
プロの漫画家たちが、出版社から出していた本を、アマゾンで自費出版の形で出し直すことをしないのは、金額うんぬんではなく、出版社や編集者との「信頼」を壊してしまうのではないか。と考えてしまうことが最大の理由でしょう。

でもそのくらいじゃ壊れないですよ。(壊れるなら所詮そこまでのこと)
心配するのはそこでしょうか。
いま、出版社に楯突いて電子化を進めても、月に千円ぽっちじゃ話にならない。という現状はありますが、3年後を考えたらどうでしょう。
出版社はどのくらい残っているのか。
雑誌はまだあるのか。
自分は作品を描いているのか。
そういう恐ろしいことを考えると、余裕がある今こそ、個人で出版するオプションも試しておいたほうがいいと思うわけです。作家がKindleで出すようになると、読者がハードを買うので、さらに作家を呼び。それが読者を呼び。という循環がおこる。
「絶版になった作品だけを取り扱う」ということで既存出版社との対立を避け、独自の電子出版の道を進んでいるのがJコミですが、Kindleでも出版社と対立しない方向から始めるのは進めやすいかもしれません。
単行本にならなかった読み切りを集めたり、同人誌ように書き下ろした作品を出してみて「電子どないなもんじゃ」と様子を見るのもありだと思います。アップルと違って18禁エリアがあるので、エロもいけます。むしろ電子書籍はエロが牽引するんじゃないかと思います。
今までは考えられなかった「世界にエロマンガを売る」ということが普通にできますから、イタリアやフランス、ブラジルや中国で、緊縛ものがバンバン売れるなどということもあるかもしれません。

毎日売れた数字が見れるのって楽しいですよ(笑)
情報は包み隠さず出していきますから利用してください。
さあ、はじめましょう。


で、数をばらしてはいけないKDPですが、なんと!
本日午後4時、大台を突破しましたーー!!!

「ギリギリ温泉1巻」の販売数がひとつ上の桁に行きました!
1冊100円で35%ロイヤリティなので、うん万円以上になりました! すげえ(笑)。いや笑いごっちゃなく。

昨日のパーティで、「シリーズ物は1巻、2巻、3巻...と巻が進むほど、売れる数が減ってしまう問題」が話題になりました。
亀有やゴルゴ、というような何百年続くかわからないものは別ですが、一般の漫画は巻が進むごとにジリジリ数を減らしてしまう。それを防ぐために、巻が進むほど値段を安くするのはどうか。というアイディアが出されていました。赤松先生は面白いことを考える。

この「限界集落(ギリギリ)温泉」は全4巻完結なので、値段を下げることは考えなかったですが、1巻を特別に安くして続きを買っていただく作戦。ディアゴスティーニ戦略をとっています。
では400円に上った2巻はどれだけの人数が減っているのか。逆にどれだけの読者がついてきたのか。
気になるでしょ?
ふふふふふ。
数を出せないので、パーセントで書きます。
1巻から2巻
 17%
おお、やっぱりガクンと減りますね。100円だから買ってみたけど、●面白くなかった。●400円は高い。●iPhoneでは読みにくい。●みそはくそ。などが考えられます。※これは実際の感想ではなく想像です。
8割が離れました。続きが気にならないんでしょうか(涙)

ただ、次はいい数字が出てます。
2巻から3巻
 81%
8割以上の人が続けて買ってくれています。ありがたいです。

3巻から4巻
 76%
悪くないです。4巻はまだ土曜の昼に出たばかりで、1冊だけ出遅れていました。一気に追いついてきました。
というわけで、トータルではもう、うん万円を超えましたよ。うん10万円を超える日も近い。

この勢いでいてくれたらいいんですが、すぐに話題が移っていって忘れられるのがネットの怖いところ。
今週中には「アジアを喰う」を出して、今月中に「僕と日本が震えた日」を出す予定ですから、みなさんよろしくお願いします。
あとは嫁の文章の本を作ってみようかなあと思ってます。テキストベースの本のつくり方も知りたいし。

漫画描くより、こういう作業してるほうが好きだということには問題がありますね。我ながら(笑)