入院日記2

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寝返りしたときに、ズキンと痛むくらいで、生活で問題はほぼないまでに回復した。
スキップだってふめちゃう。
微熱は続いているがどうということもなし。と思っていたが、仕事をしてみると体は本調子に遠く及ばないことがわかった。
1つの絵に集中できず、1枚のカラー漫画(コマはたくさんある)に丸2日かかってしまった。頭ではやってるつもりなんだが、気がつくと4時間かかって1コマしか進んでいなかったりする。まあその間お茶を飲んだりバンブラしたりしているのだが、それはいつものこと。
やっぱり漫画を書くには体力が必要なんである。
微熱が続き、やっと白いご飯を食べ始めたくらいの体では、白い画面にペンで空間を刻んでいく作業はつらくて続けられないのだ。
さっきやっと終わった。うわー、もうすぐ消灯の9時だよ。
毎朝6時半に強制的に起こされて熱を計ることで、一日が始まるようになって5日。
悪くないですよ6時半起床。これからも続けてみよう。
食事で驚いたのは、一日1800kcalの枠で作られた3食の、その量の少なさ。
味はまあそんなに悪くないのだが、減塩なのでどうしてもパンチがない。
油がほとんどない給食のような食事は、どちらかと言うと好みであって、禁煙、禁酒、の次はついに禁肉食か? と思ったりするほど、これしか無いならそれでもいいや。くらいの心地よさなんであります。
一度その夕飯をみた嫁が目を点にして「これだけ?」と唖然とした量。
ここで初めてわかったが、我が家の飯は多すぎなのだった。1日2500kcalから3000kcal近いんじゃないだろうか。そりゃ走っても走っても痩せないわけだ。
走ってない嫁がどんどん大きくなっていくのは「謎」でもなんでもなく「自然の摂理」であった。
そんな入院生活も明日で終了。かなり名残惜しい。もっと寝ていたい。
二人部屋のとなりの愛想のないおっさんがもう少しいい人だったら、3日くらいは延長したんじゃないだろうか(笑)
このおっさんがどうにも虫がすかない陰気なオヤジで、人がくるとおべっかばっかり言ってる。それでいて自分より立場の低い看護師に偉そうに話すいやみな50代で、漏れてくる話からすると市役所の役人らしい。
一言も挨拶もしなかったが、さっきイラストを仕上げていたら、美人の看護婦さんがオレに話しかけて来ました。
「フォトショップですか?」
「あ、よくわかりますね。そうなんですよ。でもちょっと違うのはほら、画面にペンで直接描けちゃうんですよ。これがタブレットPCというやつで」
「へええ、すごい。私、看護婦になる前はデザイン会社に勤めててぇ、マックとWindowsどっちも使ったんですけど、よくはわからなくてぇ」
と話が乗ってきたとき、嫁と子供たちが面接にやってきた。なんという間の悪さ! ってどんどん話が長くなっていくな今日は。
いやそれでね、じゃあと話を切って家族で話し出したら、カーテンで仕切った隣でおっさんがその看護婦に話しかけているわけよ。
「フォトショップやってたの?」
「あ。●●さんもわかるんですか」
「そりゃわかるよ。だって印刷屋だもん」
飲んでたOS-1を吹き出しそうになった。
印刷屋!? まままマジですか。
もしかして胃に穴があいたのは、オレが待たせたせいですか?
印刷屋と市役所じゃ全然違うんだけど、なんでオレは市役所だと思ったんですか。まあその程度しか聞いてなかったということで。
でも女の子相手にしか話せないのが、またそのおっさんの特徴というかなんつうか。オレに言えばいいのに、フォトショップつかってるの? とかさ。そしたらこっちだって白黒2値のイラストは600dpiで描いてますよ。とか共通の話があるのに。
いや、いい。
話こまないでよかった。この5日間の自由な時間は実に貴重だった。
だれも話しかけてこないのはとても楽ちんなんである。
ああ、もう明日から日常かー...。
1ヶ月くらいホテルに泊まり込みの漫画の仕事とかないかな(笑)