「とろっ豆」という納豆がある。
醤油が袋に入っていない、煮こごりとして角にちょこっと固まっていて、箸でつまむだけで納豆と醤油をかき混ぜることができる画期的なしくみの納豆である。食べたことがあるだろうか。
初めて見たときは「おお、なんじゃこれは!」と目が点になった。
毎日たれの袋を開けて納豆に注ぎ(美味しんぼでは納豆は最初にかき混ぜてから醤油を入れろとあったがそんな面倒なことはしてられない)、辛子の袋を破って練りだし、時々指についてなめたら辛い。みたいなことをしなくてすむようになる。ということで飛びついたが、数ヶ月たった今ではこれを買っていない。
パックの入れ物の強度が弱くて、あけるときにばりばりっと壊れてしまうことが多いからだ。
あれはなんですか、経費節減しすぎなのか、丁寧にあけないとかなりの確率でパックのプラスチックが破損する。普通の納豆パックでは破損は命取りで、たれが割れたパックからこぼれるが、とろっ豆ならこぼれることはない。ああだからその分石油を節約したのかもしれない。
節約しすぎだろ。袋を破る少しの手間をかけることが面倒な人が買う商品である。集中してそーっとあけないと壊れるようなセンシティブな入れ物はストレスがたまる。
あの煮こごりのたれは、味は二の次で、正直それほどおいしいものではない。袋からたれをかけた方がおいしいのだが、それが面倒なので! その程度の理由で選んでいるわけですよ。少なくともオレは。入れ物を壊れないように開ける、というのは袋のたれを破ってかける、以上のストレスがかかる。
入れ物の強度が上がったらまた買うので、ぜひ改良してください。
ちなみに教祖の世代の人たちは、たれを使わないで醤油をかける人の方が多いと思う。昔はたれなどついていなかったそうなので。
教祖がたれ派なのは、東京で暮らすようになった18歳の時から納豆を食べ始めたからで、食べはじめが遅かったことと関係している気がする。子供の頃に醤油ですり込まれた味の記憶は、サッポロ一番の好みのように生涯変わることがない。
その醤油派は「毎日使わないたれを捨てなければならない精神的ストレス」にさいなまれている(と思う)
たれを捨てることがない。画期的な「たれなし納豆」(笑)を作れば売れると思うがどうか。10円でも安ければそれで結構。同じ値段でもいい。捨てなくてすむことは朝から心を明るくしてくれるだろうから。