見届ける

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そうこうしているあいだに、なんだかんだ十月も一週間以上が過ぎてる。
早い。早すぎるぞ、月日。

私の身の回りは、ちょっとした大きな台風や、小さな嵐がビュンビュン通り過ぎていってたんだけど、諸般の事情で全然書けないというのがつらい。
早くこの諸般の事情を取り外したいと思っていたら、ああそうかお嬢はあと半年もするともう家を出て行くことがほぼ決定しちゃったんだし、小僧もあと四年しか一緒にいられないのかと思って、突然寂しい。
怖いぐらい、寂しい。
彼女の人生は彼女のものだ、というスタンスは変わらない。
だが、そんな彼女のそばにいる何でもない日常がどんなに素敵だったのかを、具体的に失うのねと思って初めて胸に迫る。
私の想像力はたくましいくせに、都合が悪い最悪の事態は見えないようになっていたのかもしれない。
閉経の時期と相まって、これはどうやって乗り越えたらいいんだ、空の巣症候群。
覚悟がなかった。
甘かった。
受験なめてたし、お嬢なめてた。
彼女は私が思っているよりずっと強くて、しっかりした夢があって、そのためには恐れずにバリバリ自分で道を切り開くようなタイプだった。
そして何より、一度決めたら絶対に譲らないタイプだった。
知ってたよー、ええ、知ってましたとも。
なんとなく、子育ては期間限定とか、なんとなく、子どもとの有限な時間、とかも、言ってましたしねぇ、私。ええ。
でも、期間限定が決定して初めて、腹の底から寂しさがゴゴゴゴって噴火するのね。
よし。
この、身をちぎられるぐらいの別離の苦しみを通り越してきた屈強の先輩ママを誘って、ランチにあけくれようと決めた。

もうすぐ、彼女の最後の弓。
あの勇姿を見るのは、大きな大会では最後になるのだろう。
見届ける。
それが私にとっての、長崎がんばらんば国体の最大の意味になった。私もがんばらんば。
背水の陣には強いお嬢だ。
悔いなく戦えますように。
お嬢らしくね。