親しくしている漫画家さんのご子息ご息女は、国公立大に進学されているケースが多い。
明日をも知れぬ自営業となれば、万が一の時には自力でもなんとか卒業まで持っていけそうな国公立という選択は、大変に正しいと思う。
ご多分に漏れず、我が家も国公立以外進学は無理、と言い続けてきた。
一昨年の収入に至っては、高校卒業後、すぐに就職して主たる稼ぎ手になってもらうこともアリだった。
東京大学が在校生の家庭状況を調査した「2010年学生生活実態調査の結果」(2011年12月発行)によれば、
【世帯年収950万円以上の家庭が51.8%】
・・・つまり、東大合格者の半分が、世帯平均年収約550万(厚生労働省調べ)のざっくり二倍収入があるご家庭のお子様という実情がある。
今や予備校もとんでもなくお高い。
無料の冬期講習を受けた後、第一志望合格安全圏に持っていくためには、100万以上の金額をつぎ込めでございます。というありがたいアドバイスをいただき、にっちもさっちもどうにも。
今更、足りない学力をにわか経済力で補うのはかなり困難だと思う。
しかしZ会だけで部活と両立させて、というのは相当に無理がある。ということだけは重々理解した。
お嬢の学校は、高校生活を送る上ではすばらしいのだが、大学進学に関してはイマイチ弱い。
彼女は寸暇を惜しんでコツコツ努力するタイプだし、学校での成績も模試の結果もハードルの低い私には大満足なのだが、彼女自身は満足していないらしいから面倒くさい。
しかも寮生活をしてみたい、などと言い出す始末で、頭が痛い。
そんな予算がどこにあるのだ。
無理。無理。絶対、無理。
去年の予測しなかった父ちゃんの大漁で、私立受験可としたところまでが限界。
お嬢、この際、難関国公立は諦める。というところで手を打とうよ。
・・・でも、もちろんできるならせめてトライさせてあげたいし、頑張りたい気持ちを後押ししてあげたい親心。
電卓をはたきながら、はたと「お引っ越し」という文字が脳裏を掠める。
小僧が高校サッカーの合宿所に行くならあと二年後にはもう夫婦二人だし、こんな広い家はいらない。
いや小僧の入った学校はものすごく小僧に合っていて最高なのにわざわざ外部受験なんてもったいないから、むしろ小僧の今の学校の近くに小さな家を借りて引っ越したら、定期代かからずにしかも案外楽しそう。
とか、なんだ結局規模縮小に向けてちょっと引っ越したい気分になってるんじゃん、という自分が見えてきた。
子どもは、手間がかからなくなると、金がかかる。
そして、金もかからなくなったときには、私たちが稼げなくなっている。
世の中、うまくできてるな。老人二人には足腰辛すぎるだろう縦に長い今の家について、お嬢の大学受験を機に私たちの進路もいろいろと考え始めてた。
ただ問題は、私がこのハムハムハウスみたいな忍者屋敷を愛していることなんだよなあ。うーむ、悩むなあ。