ただ無邪気にボールを蹴って、ゴールを決めて嬉しいという時代はとっくに終わっていて、自分がなすべきことをすでに十分、知っている。
背負うべき責任と共に駆け、向上心を抱いて努力し、自分のためだけでなく、時には自分が大事に思うもののために戦い続ける。
その胸が破れそうになっても、その足が石のように重くなっても、君たちは足を止めない。
君たちを突き動かす力は一体何だ? 君たちを駆り立てる強い気持ちに触れるたびに、私はサポーターとして熱い涙を流さずにはいられない。
生まれてからわずか12歳で、まだ遊び盛りのほんの子どものくせに、ひとたびボールを蹴りだしたら、君たちは誰よりも凛々しく、かっこよくなる。どんな使命感で君たちが駆けているのか、その情熱の一片でも理解できたらいいのにと思う。
私には、どのプレーヤーがそのチームにふさわしく、選外の選手がなぜ目に止まらなかったのかがわからない。
選手の秘めた可能性を測る物差しを知らない。
都内だけで9000人が親しむサッカーで、それぞれのチームがどんな意味を持つかもわからない。
でも、一つだけわかっているのは、もう無邪気に遊ぶためにボールを蹴っているのではなく、サッカーを生業にしようとして、グランドに命を賭けていることだ。
12歳で、君たちは。
ただ、私は君たちをみつめていた。
みつめているだけで、君たちが与えてくれる幸せの1/10もお返しすることは出来ないから、望むチームに恋われた選手も、そうでなかった選手も、どうかあと三年、五年後にピークを迎えられますようにと、一人ひとりのために祈りたい。
チームなんて枠は、きっと将来から見たら、小さな事だと思う。
だって、すでに君たちは勇者なのだ。
自ら自覚し、選ばれて、そこに立っている、蹴球勇者なのだ。
プレーが、自分らしくある限り、そして決して下を向かないで、ロスタイム最後の一分秒まで戦い続ける限り、勇者は勇者でありつづけるのだと思う。
それが、勇者としての宿命なのかもしれない。
君たちを心の底から讃えたいと思う。
未来の日本サッカーを担うのは、きっと君たちなのだ。