小僧がコミュニケーション力のなさから、ずーんと落ち込んでいる。
理解されない、理解できないことのつらさ。
理解しあう時間がない、いらだち。
サッカーをあきらめたら、お友達ともっと遊べるのにな・・・そうしたらギャングエイジ特有の、グループでの遊びが盛んになって、ちょっとしたいざこざの関係修復も簡単かもしれないと、サッカーより大事なものについて考えてしまう私。しかし、サッカーを諦める路線で、小僧を説得していいものなのかどうか。説得できるのかどうかも、わからない。
小僧は、DSをしない。チームからは推奨されていないからだ。
炭酸飲料も飲まない、お菓子も食べない。
おやつは牛乳とおにぎり。それが将来、立派な体を作ると信じている。
サッカー練習に費やす時間が長く、お友達と共通の話題がない。
言葉をそのまま真に受けるから、親愛の情か憎しみかの区別がいまいちつきにくく、反応がちょっと暑苦しい。空気はうまく読めない。だから、なんとなく孤立化するのも仕方ない。
それが福助くんだし。
という、良い感じのキャラ立ちだったんだが、本人が「憂鬱」になってしまうと、バランスが悪い。
それでどんよりしている。
サッカーの練習にいけば、それなりに充実した時間を送っているのだろうが、一日の大半を過ごす学校の友達を大切にしたい気持ちもよくわかる。
それはどんよりするだろう。
一人でいることを楽しめればいいのだが、中途半端に伸ばした適応能力と、チームプレイで培った集団性の高さを、今更切り替えようがない。
単純に、せめてサッカーが普通の習い事レベルになれば・・・と思う。
もうプロになりそうな子どもには、トレセンだの、スカウトだの、十分なお声がかかっている世代になった。もちろん小僧には、まだ誰も着眼していないから、隠れたヒーロとも言えるが、すでにもう誰も着眼していないという言い方も成立しそうで、このまま埋もれたヒーローになる確率は高い。
ストイックにいろいろなものを・・・本当にいろいろなものを犠牲にして、それで彼には何が残るのだろう・・・と思う。
生真面目にコツコツ。
コツコツ。
コツコツ。なあ。ほんとに。
ゴールデンエイジだから、何でも習得しやすい。ハードルも幅跳びも、かけっこだって得意だ。けれど、黄金の時間は小僧だけでなく、すべての人々に訪れている今、サッカーの魔物はどんどん魔王や魔神になっていく・・・とは思う。
凡人の小僧と、大きく差がある。
栴檀は双葉より芳しいという。
芳しかった気もするのに、ちょっと立ち枯れていないか。何がいけなかったのだろう。
サッカー業界の厳しさも、たくさん読んでわかったような気になっている今、小僧ごときではもう、プロにはなれないんじゃないかなあ。
サッカーは趣味でいいんじゃないかなあ。
という言葉が浮かんでは消える。
しかしそれは、私が言うべきことではなく、ちゃんといつか、宣告されるか自分で気づくまでは、私は何も言うべきではないとも思う。
「その時」が来たら、壊れてしまわないように、今からちゃんと準備しておかなければならない。
だが、そのための準備って、いったい、どんな?
本当に何を言ってあげればいいのだろうか、どんなスタンスで育てていけばいいのか、私も迷って迷って、どんよりしている。
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