「全国少年少女錬成大会」という、武道の祭典・中学生版への出場も今年が最後です。
陽炎がたつ九段下の坂道を登ると、セミの大音声が降って来るようで、去年も夏の始まりをこの大会で感じたのだったと思い出しました。でも、もう来年はないのです。
高校生になるからね。
駐車場には関東近郊から集まった大型マイクロバスがみちっと。
案内の腕章をまいた係員が忙しそうに立ち働き、武道館の入り口にはプロカメラマンがいて、注文すると武道館を背景に全体写真を撮ったり、アルバムも作ってくれます。
中は袴姿の中学生で熱気で溢れ、武道館グッズやお土産物も満載。全国各地から集う弓道の名手たちがどんな選考を経てここに集っているのか今一つ理解していないのも申し訳ないんですが、都内の見慣れた学校名はちらほらと。
都内の中高一貫校は、ここからが本番。
関東大会、全国大会にコマを進める大会が目白押しで、東京国体特別強化選手の選抜や、トレーニングなどもあります。
基本的には高校生でも弓道を続けるため、この一年の研鑽はとても大きい。
けれど、地方の公立中学はおそらくこれが引退試合なのでしょう。
成果を出せずに泣いている姿もしばしば見受けられました。
一生懸命打ち込んで、中学時代のかなり長い時間を、稽古に稽古を重ねて費やし、そしておよそ5分間の、たった4射に込める想い。
それを想うと、知らない子の泣き顔に、つい胸が熱くなるおばちゃんなのでした。
出かけるギリギリまで、なでしこジャパンの優勝で号泣していた勢いもあってね。
娘ちゃんは、ひとつを枠に、ひとつを的中させました。
団体戦のみの大会では、三人1チームで、4回づつ射って、12本の矢のうち合計6本以上が本線に進めるというルールです。
チームの事前練習の成績から考えて、予選は通過するだろうとおごっていたらしく、結果に
「くやしい」
といっていましたが、特に涙もありませんでした。
部員たちと一緒に楽しくお菓子を食べ、楽しい時間を過ごして、そんなのも気楽でいいけれど・・・、
私には、灼熱の屋外で、涙ぐみながらゴム弓をひきつづけるある少女弓道家の姿が印象的でした。
練習ではなく、すでに結果は出ている。おそらくは本戦に進めず不本意だったのでしょう、一心不乱にゴム弓で矯正しているのです。
いろいろな関わり方、いろいろな想いがあります。
がんばる子は、その悔しさをバネにきっと次のチャンスをモノにするだろうとも思います。
なでしこのように。
そしていつか、なでしこジャパンのような、歓喜あふれる勝利の瞬間をつかみとってほしいと思います。
彼女の真剣なまなざしから、娘が何を感じ取ったかはわからない。
でも、中学生みんながそれぞれ、弓道に賭ける想いの深さがあることを、なんとなく思い知った一日でした。
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