2022年、ワールドカップはカタールに決まりましたね。
小僧、22歳です。
10歳の今、小僧はサッカーに夢中です。四年生らしく、ワールドカップを夢見ています。
心酔するコーチがまた、最高にかっちょいい人で、小僧のちっちゃい可能性をぐいぐい広げてくれています。
私も目の保養だわと思いながら時々練習を覗いていたのですが、小僧が嫌がるので、最近は送迎だけ。寂しいなあ。
自ら海外のプロリーグを経験してきた人というのは、指導のスケールも大きい。
まず、小僧のクラスは選抜されなければ入れません。厳しい現実と直面させて指導が始まります。
しかも毎月、順位がつきます。
その評定は毎回厳しく、中にはプライドが砕け散って辞めていった子もいます。でも下位からぐーんと伸びまくった子もいます。下位っていったって、あらゆるチームのエース級ばかりですから……気持ちさえ強く保てれば、とてつもなくいい環境だと思います。
昨日は月例成績発表の日でした。
先月はシュートのタイミングとコース、先々月はパスコースと精度。
小僧にはたくさんの課題がありました。そして今月は?
「修正ポイントをひとつひとつよく修正してきたと思う。パスは正確になったし、シュートもタイミングもテクニックも的確になっている。特にインサイドキックの精度は素晴らしい。普通じゃないものを持っていると思う。だた、世界にはもっと上がいる。もっと上を目指すには、まだ足りない。すべてをより磨き上げる必要がある。満足したら終わりだから、もっともっと上を目指そう」
小僧はほくほくしながら「世界にはもっと」を繰り返していました。
ふつうじゃない、といえば、ふつうじゃないです。それで大変苦労してきました。
でも、そのふつうじゃないことが、こんなふうに活きてきたことが、幸せだと思います。
おそらく、そのコーチのプレイスタイルに小僧が魅了され、周りのレベルに押し上げられて、サッカーは小僧にとって、他に変えられないほど楽しいものになってしまいました。
でなければ片道一時間かけて、バスや電車を乗り継いで通わないわね。
素人が見ても、本当にこれは小学生のサッカーなの?と思うぐらい、素早いポゼッションサッカーです。このままチームを作ったらいいのにと思ったり、でもそれが諸般の事情でかなわないことをこらえたり。
「ずっとこのクラスにいたいなあ」
という小僧。私もそれがいいと思っています。こんないいコーチにはなかなかめぐりあえない。それがめぐりあっちまったんですから、もうこのまま小学生世代はずっとお預けしたいというのが本音です。
しかし、小僧は「日本一になりたいから」という理由で、あるチームのセレクションを受けようとしています。
チームに入れば、他のクラスはとれません。
本当に、長い目で見て、それがいいのかどうか……。
来年度、仮にとてつもない倍率の針の穴を通っても、その後のジュニアユースの採用はまた別の問題。中学の部活。フットサルへの転向。いろいろな方向を考えながら、フローチャートを描き続けて、ぐちゃぐちゃです。
世界はもっと、以前に、同世代のとんでもない選手の、とんでもなさ加減もよくよく知っているだけに、何を目指すのが幸せなのか、転ばぬ先の杖を探します。
でも結局、小僧が決めることだからなあ。
転んでも転んでも、杖なんかいらない。ボールを蹴り続けてどこまでも走っていくような気もするし、もう二度と立ち上がらずに全然違うスポーツを始めるかもしれません。
全部、自分。
コーチの座右の銘が、小僧のサッカーグッズに書かれています。
たがか10歳で、「世界にはもっと」という視点を持てているだけで、よしとしなければならないのかも。
でもきっと、これだけは予測できる。
12年後、小僧は、サムライブルーのユニフォームを着て、カタールのワールドカップを見ています。
それが選手でなく、応援するサポーターという12番目だとしても、そこにサッカーがあるかぎり、きっと小僧は夢中になって日本を応援していると思います。私もユニ着て、応援するんだ。
異常にサッカー好きな小僧がいたおかげで、ふつうじゃないお楽しみが広がってます。
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