お誕生日のプレゼントはおいしいフレンチだった。
娘は100点のお祝いも兼ねて、一番お高いコースを食べた。
46年目にして、はじめてフォアグラのおいしいのにめぐりあい、感動する。
長生きしたい!
んでもって、未知なるうまいものを食べたい!!
デザートの時に「おめでとう、今年のプレゼント」と手渡されたのは、ルンバの説明書……。
ったって、社交ダンスじゃないですよ。
お掃除ロボット、ルンバである。
コストコで見かけて、相方に欲しいを連呼した、それ。
「やったあ!」
と叫ぶやいなや
「甘い!そんなに簡単に手に入ると思うなよ」
と、相方がニヤリ。
去年に引き続き、ルーレットが、ルンバの説明書と一緒に挟んであった。
去年と違うのは、バラエティーあふれるいろいろな賞品が書かれているわけではなくて、賞品はおおむね、「ルンバ」だという点。
でも、東京フレンドパークにおけるパジェロのように、細い「当たり」も、ある。
そこには「歯の治療・青天井」と、その対極に、「愛のチュー1年分」と書かれてあった。
えーっと、えーっと、これは、どれを狙うべきなの?
うちの娘は長いこと、お手伝い券とか肩たたき券をプレゼントしてくれてたものでしたが、それは全く使えない券でした。
「宿題があるから」「習い事で忙しいから」と、何かしら理由がつくので、ある時を境に、有名無実なチケット制度の廃止を訴え、受取拒否を。
で、「愛のチュー一年分」かよ……親子して、同じ手か。血は争えんな。
問題は、受取拒否はできそうにないところなんだけど、どうしましょ。
問題は、タワシに…もとい、パジェロに該当する「愛のチュー」があたった時のリアクションだよな。
いや、考えない。私は勝ちに行く。勝つことだけを考える。
夕食が終わって、ケーキを食べ終わり、いよいよルーレットがまわって……。
目を閉じ、指先に念をこめて、えいやっ!とルーレットを止めた。
しーん。
としている。
え。
まさか!
やっちまった?
こわごわ目を開けると、私の指先はふきだしを指してたよ。「愛のチュー1年分」と書かれたふきだし部分ってこと。
すなわちそこはルンバの当選を意味するのだが、、しかし子どもたちはふきだしの文字だけ読んで、気持ち、青ざめていて。
「え。これはルンバでいいんだよね?」
とこわごわ相方に聞くと、そうそうルンバルンバと、相方が笑っていて、一安心。
「いやーん、惜しいな惜しいな。残念でならないなあ、おかあさんとしては、愛のチューが良かったなああああ」
と、ほっとして身悶えして……しかし、本当の身悶えはそのあとルンバ本体が動いたときに、おこったのでした。
本日、ルンバ、初通電。そして、初仕事。
これが、かわいいっ!!
汚いところを何度も何度も一生懸命、掃き出して、文句一つ言わない。あたりまえだけど。
うわあああ、私は未来にいるんだよ。
今、未来にいるんだ。と思ったら、本当に嬉しくなっちゃって。
星新一の「ボッコちゃん」を読んだあの日から……。
もとより、毎回ロボコンは欠かさずチェックし、長澤ますみの映画まで見て、できることなら、我が子をロボコンに出すのが夢だったおかんなんだもの。私。
ホンダのアシモは、まだ四角い頭のプロトタイプのプラモデルを、長いこと宝物にしていた。今夏、科学技術館でアシモと対面したときに涙が頬をつたったほどの、ロボット愛なのよおう。
なのに、小僧はレゴや超合金変身ロボットよりもサッカーボールを選び、モノづくりには全く興味をもたない。しくしく。
その上、小僧は、ロバでもないのに、家の中にサッカーで蹴ったのだろう、芝生のワラくずばかり持ち込む。しくしく。
その二点を、一気に解決してくれるのが、NASAの技術の集大成、ルンバなのだ!!夢だ、夢。
ルンバもどきをドンキホーテで買ってきて、相方に「捨ててきなさい」と叱られた日もあった。
マジ、使えなかった。
まさか、本格的なお掃除ロボットと一緒に暮らせる日が来るとは!!
長生きしたい!
子供の頃見た夢は、どんどん叶っていく。
一時間ほどルンバは一生懸命、我が家のリビングを掃除してくれた。
私がクイックルをかけるよりずっと綺麗になった気がする、床。
特に、絨毯の上には、ゴミ一つない。
私と相方は、ルンバがけなげに働く姿を、椅子をあちこち移動させながら、一時間ほどずっと眺めていた。
メイドさんがやってきた。実に働き者の、メイドさんだ。エプロンを作ってあげたい、ご主人様としては。
最後に自分でベッドに戻り、音楽でお疲れ様と知らせ、やがて呼吸するように充電を始めた。(点滅ライトは、呼吸しているようにしか見えないのさ)。
おかえりなさいませ、メイド様。な気分である。
あああああああ、なんて、かああああわああああいいいいいいいい。感涙。
ゴミを捨ててみたが、それなりにちゃんと取れている。よくぞここまで汚くしておいた、でかしたぞ、私。大変喜びに満ちた、初回の仕事っぷりとなった。
立ち上がりがきつい。中腰がきつい。左手でものをもつのがつらい。
そんな46歳に贈られたルンバは、正しく値千金だ。
相方、ありがとう。愛のチュー一年分は、私から送らせてもらう。なんの、遠慮はいらないぞ。
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