中間テストである。
娘ちゃん、珍しくテンパッている。
かぼちゃプリンを買っておいたよ〜、わかってる〜と反応はあるのに、カウンター上に食べないまま放置してある。
もう、二時間以上、放ってあるよ。これ、私が食べちゃってもいいんだろうか。だめだろうか。だめだろうな。
「ついかんばんへるにあって、何?おかあさん?」
と小僧が言うので、一緒にウィキペディアで調べてみる。難しい漢字ばかりなので音読していると、
「んまわしみたいだね」
と、ニコニコしている。
絵本寄席で、小僧がとても気に入っている落語だ。
「ん」を一つ言ったら、たこやきが一個もらえるというルールの言葉遊びの噺で、「れんこん」、「にんじん」、「だいこん」で三個、それがエスカレートして、「オラウータン」「ニホンザル」「チンパンジー」で四個、やがて、「巨人阪神全員三振」で七個……これの一番長いバージョンを暗記しているものだから、時々ご披露してくれてとても楽しい。ただ、毎回、その記憶容量を別の事に使ったほうがいいのではないかと、ちょっとだけ思う。
病名も大好きなんだよな、「GM踊るドクター」の影響で。
末は医学博士か落語家か。……「いや、俺はサッカー選手だよ」というだろうな。
あれれ、椎間板って、2個しか「ん」がない。でも医学用語って、確かに呪文みたいで面白い。
ネットで調べていたら、韓国で手術するのが安くて技術も高くていいという。
韓国ならプサンでもインチョンでも、飛行機で簡単。イビョンホンやチョンドンゴンに似た理学療法士と、ペヨンジュンに似た医者にすべてを委ねる甘美な時間、治療に専念。この際、椎間板をバンバン切ってもらい、本場のビビンパを半端なく食べて帰ってくるのはどうだろう?……って、たこ焼き、23個分の「ん」だな。
いやー、噺の中の本物の「ん」は48個だった気がする。やはり本物には、かなわないな。
と、アホなことをゆるゆる考えていたら、娘がすすすっとおりてきて、
「明日食べよう」
と、かぼちゃプリンを冷蔵庫にしまい、おやすみも言わずにまた二階に戻っていった。
あ、まだ寝ないか。何しにきたんだ? しまいにきたのかな、それだけのために降りて来たのかな。娘ちゃんは、「食べる」ことが何より大好きだ。食べちゃわなくてよかったんだよな、きっとよかったんだ。うん。
HOME |
Topページにもどります |
AFFILIATE |