万華鏡

400キロカロリーの切なさ

健康診断を全く受けなかった相方の言い分は、自分は健康だから。というものだった。
なので、戦いを挑んでみた。
私の血液より健康な数値が出るはずがない！
より健康な方に一万円、分のチョコレートとか、どうだ。※賭博は法律で禁止されています。
そして「かなりヤバイ、ぎりぎりの状態にいる」相方の不健康ぶりがあぶり出されたのが、二年前。
私は善玉コレステロール値が基準より少し高い程度で、太鼓判を押されるほど健康だった。

それから彼は、毎朝ご飯を食べ、基本三食、節酒禁煙。日に十キロを走りこみ、趣味はボイストレーニングという、少年隊のヒガシに近い生活を送った。顔は宮崎県知事のヒガシに近い。

そして二年の月日が流れ去り、相方の体重は2.5キロ減少、私の体重は5キロ増。
夫婦間エネルギー不変の法則も、バランスが崩れた。この不景気に右肩上がりで…という定型句も虚しいほどに膨れ上がり、風呂場で自分の裸体を見るたびにドラクエのスライムベス（雑食性）を思い浮かべる始末である。
内臓器はあちこち故障箇所もあって治療中。不健康極まりない気がする昨今、意気揚々と相方から挑戦を受けるのだった。
去年の盲腸退院時に「完璧」な数値をたたき出している相方である。
健康オタクが暴徒化しているほどの相方である。
前回、一万円、分のチョコレートのようなものをいただいている以上、勝ち逃げは出来ない。挑まれた勝負は受けて立つ。

負けた結果で生活を変えたと思われるのもしゃくだったので、勝負の前に、私は健康を立て直す宣言をした。
いや実際、体調はものすごくよろしくないのである。
血液だってドロドロに違いないのである。
基礎代謝はすでに1100程度の身、一食400キロカロリーが理想的として、それがどの程度の量なのか学習しなければわからない。
そういうメニューを期間限定で購入し、試してみることにした。
そして、食事量と酒の節制、定期的な運動、睡眠の確保を計画、公言して戦いに挑んだ。勝っても負けても、私の健康生活が始まると思えば、いっそ清々しい。

で、結果、やっぱり私の方が健康的な数値で……。
ドクターの見立てでは、相方は健康を意識するあまり、運動のしすぎ状態、無理なダイエット状態になっていないか、生活を見なおしてねとのことだった。
一万円、分のチョコレートのようなもの、を、いただきました。
これを、400キロカロリー冷食の代金にあてよう。

そして、早速、その400キロカロリー食を試したのだが……。おいしいのね。おいしいけど、少なすぎるのね。こんなんじゃ、「おやつ」だよ。と思った瞬間、スライム化した腹肉の謎が解けた。末広がりは縁起がいいが、末広がりな体は健康に悪い。
私は食べないように。相方は食べるように。
私は動くように。相方は動きすぎないように。
ガミラスとイスカンダルのようなパワーバランスだわと思いつつ、終末を迎えるにはまだ早いので、ここらで立て直しを図り、もうひと輝きしようと思う。
それにしても、少ない……。仏様のご飯なの、これ？
ああ、切ない……。

2010年09月14日 10:46