玄関に訪れていたのは、めちゃくちゃかわいい、3センチ弱のヤモリと、それよりひと周り大きく、つやっつやな羽を持つゴッキーだった。
容赦なく、ゴッキーだけを仕留める。……同じ、生命なんだけどさ。
そういえば、心理学研究法の授業で、私たちは「老後に飼いたいペット」の質問紙を作り、データを分析して発表したわ。
亀と昆虫に対する意識が酷似していたり、小鳥と犬が人気が高く、数値的に似ているところから、老後のペットの決め手は『ふわふわした毛』かもしれないと結論づけたり、実に楽しかったんだけど……。
ヤモリが家にいるって、ちょっと嬉しかったりするのよ。トカゲを飼おうとは思わないのに。
もしも質問にあれば、データとして不備ってことだよなあ。
そういうのって、なんか、不思議だよね。これはいいけど、これはダメって。
何をもって、好ましいと思い、不快に思うのかしら。
色?形?稀少性?
ヘラクレスオオカブトをスリッパで叩こうとは思わないからなあ。スリッパに刺さりそうだし。でも、好んで飼おうとも、思わないわねぇ。
血液検査の結果が出て、母・ヨシコのハードウエア、強靭なり。
栄養失調で倒れて、我が家で一週間、入院して約一週間。
今日、頭部を輪切りに。結果はまた後日だね。ああ、やっと懸案の脳内がわかる。
熱中症ギリギリで、羽化したてのセミみたいな顔色と、これまたセミみたいに目ん玉だけになっていた顔が、ちゃんとヒトに戻り始めているのが素敵。つか、強すぎ。
自炊できないのでろくに食べず夏バテした体力を取り戻すかのように病院食をしっかり食べているようで。おいしいらしい。まー、完全禁酒でもりもり食べてよく寝ていれば、抑うつ感すら吹き飛んで、元気にもなるわよ。
……で、わがまま全開が始まる。
そうだった、この人は、そういう人だった。
本当に、一昨日まではびっくりするほどかわいい、「いい子」だったんだけど。
それだけ、生命力っていうのか…つまりは、元気になってきたということだよね。
生殺与奪権のスリッパを握り締めてこっそり下駄箱にしまって、せいぜい「病気だから仕方ない」を繰り返すんだよ、私は。
介護は外部のプロに任せるのが一番いい。身内の醜いところを直視するのが、本当につらい。
我がママのわがままかー。
……オヤジギャグを言っても、気持ち晴れず。
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