最近の相方は目が血走っているが、大丈夫なのか。
食べないし、寝てないし、不健康極まりなく、ずっと地下室にこもって仕事している。
「ああ、走りてぇぇぇぇぇ」
と、叫びながら、今も地下にもぐっていった。
地下室、とかいうと大豪邸のようでかっちょいいが、要はパニックルームみたいなもので、出入り口は床下収納食品貯蔵庫のような、アレである。
コンパクトな地下には、全く陽がささない。
それで光を求めて歩き始め、それがエスカレートして走るようになった。最初は、ほんの出来心だったはずだ。それがいつのまにか、毎日の日課になり、ジョギングをはじめて、健康オタク化し、とうとう今週末はでっかいマラソン大会にエントリーしている!!
健康なのか? 不健康の皮をかぶった、健康なのか?
今日、遠征のためのチケットが届いた。
この家を買ったときには、相方、地下室はキライだと近づきもしなかった。
この家を注文した人は身長が170センチしかなかったから、私はいいのだが、相方は歩くと髪の毛が擦れるのだ。それで長いこと、物置と書庫と、私の仕事場代わりになっていた。
私は密閉された空間が大好きだから、あのまま地下にいたら、くまのプーさんみたいに、きっと出てこられなくなってしまっただろう。
紆余曲折があって、相方の仕事場を地下室に移すわけだが、いや、何が幸いするかわからないものだなあ。引っ越したばかりの10年前、大差なかった体重比が、今や15キロの開きである。
ま、二人して貧弱に痩せちゃったら「貧乏なの? 食べれてるの?」とあらぬ心配もかけそうなので、私の贅沢な腹まわりの肉が食生活の豊かさを物語っているということにしたい。
息子はサッカーとバスケとベイブレードに命を懸けている。
娘は弓道と競技かるたと、ついでに卓球まで始めて、一週間、全面的に燃えている。
かあさんは、みんなの応援団として常に一緒に笑って泣いて……って、忙しさでは比類なき状態でも、私だけが、マッサージにかかるとか、入浴をするとか、買い物に行くとか、クイックルをかけるぐらいで、運動らしい運動をしていないんだよな。
ああ、この熱い応援は、まるで痩せる想いなのに。気持ちだけで痩せることができたらいいのに。
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