「もう、おかあさんは見てなくていいよ」
と、小僧が言うので、昨日は小僧をグランドに送り届けると、町の探索と夕食の買い物をして、練習の最後の方だけチラ見した。
ああサッカーの上手な子は、本当にいっぱいいるんだなあとしみじみ思う。
そして、そんな子はみんなみんなサッカーが大好きで、寸暇を惜しんでボールと戯れるし、子犬のようにじゃれあってボールを奪い合い、芝生に寝転がり、何が愉快なのか、いつも笑ってる。
ゲームの時間になれば、きりりっと「男」の顔になって、走り回る。
熱い視線は、サッカーママの特権だわと思っていたが、そろそろ「こなくていいよ」なんだな。
こういう成長は、うれしくも寂しい。
一年上のクラスで最も違うのは、走る量だ。さらに上のU-12、トップチームになると、スピードが増す。
あと二年後、小僧はこんなスタミナとスピードを習得できているんだろうか。
ま、生まれたばかりの頃には、自分の首ですら持ち上げられなかったのだし。子ども時代の二年は大きいのだろう。
それにしても、めっちゃ楽しそう。
遠隔地から通う子が多いので、練習の前後に遊ぶことができないけれど、ボールひとつ蹴るだけの関係で、わずか数回でこんなに親しくなってしまうんだということに驚く。
車の中では、誰のどこがいいプレイだったか、自分と組むとどうなのかを一生懸命説明してくれるのだが、いまひとつ名前と顔がわからない。
「ほら、紫の靴をはいてた子だよ!」
と言われても、靴なんか見てるのは選手だけだって。
好きこそものの上手なれだなあ。
こんなに口数が多い子どもになるとは、何もしゃべらなかった三歳の彼からは想像もできなかったよ。
これからも、いい意味で期待をどんどん裏切ってくれればいいな。
サッカーママは、送迎係とお話聞き役に徹して、練習中は教科書を読もう。
進級して、またとんでもない量の教科書が届いた。去年、手をつけていないのが半分以上あるというのに。
さあ、私も成長しよう。体重ばかりが右肩上がりでは、切実にかなしい。
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