帰宅後、小僧はボールを蹴っている。
昨日は、今日の試合のために50本シュート。
今日は、来週の試合のために100本シュート。
初めて呼ばれた四年生の正式な大きな大会に、小僧はベンチを温めた。
ベンチに座りながら、ずっと「出たい出たい」と祈っていたという。
でも実際に後半、出してもらっても、小僧は四年生と同様のプレイなど出来ていなかった。
慣れない左ウィング。一本のシュートもアシストもなく、コーナーを蹴ることもなく、ただ彼はひたすら、ボールの行方を追って、集中を一瞬も途切らせることなく、まさしくアゴがあがるほど走り続けた。
いつものようには活躍できないまま、ホイッスルが鳴った。
二回戦敗退。
試合が終わって、涙をこらえるのがやっとだった小僧は、決勝戦が始まると、自分が叶わなかった相手チームのプレイをにらみつけていた。
解散後、私と姉と一緒に入ったラーメン屋さんで、ラーメンを待ちながら小僧が言う。
万全の準備が出来なかったこと、勇気がなかったこと。
今日の自分のパフォーマンスは最低だった。
自分の思ったようなプレイは、どうやったらできるようになるんだろう。
……正直、私には全くわからない。
だから答えは自分で探すしかないね。
9歳が、一生懸命考えることにどれほどの力があるのかわからないが、考え続けることで何かが見えればいい。その結果がサッカーに生きても生きなくても、その結果がサッカーであってもなくても、小僧が答えを導き出せたらいいと思う。
来週は三年生大会が待っている。がんばれ、小僧。君ががんばる限り、私はいつも君のそばにいる。
さてお風呂が沸いた。早く100本終わらないかな。
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