体育の時間にハードルにけつまづく、というのは、昭和の少女マンガのドジな女の子の王道でありまして、動物的勘と運動神経だけで生き抜いてきた私にはそういう生き物がいることが信じられない分野であったのですが、よもや血を分けた娘がそんな「ドジっ娘」であったと知って、頭が痛い想いです。
頭が痛いといえば、娘も、転んだ直後、頭がガンガンしたそうです。吐き気も覚えたそうです。
でも、何しろ楽しい日々の授業、しかも明日は楽しい遠足とあって、痛みはすぐに忘れて、帰宅後も明日のお弁当の準備に余念がありませんでした。
念のため、整体に行っておこうと思いまして、私と並んで治療に入りました。
私は腰に電気をあて、平賀源内に思いをはせておりましたところ、隣から不穏なうめき声がする。こらえきれずに「痛いっ」と小さく叫んでたりもしてる。先生が言いました。
「ああ、おかあさん、これ、多分折れてますねー」
鎖骨が腫れあがってます。
おそらく不全骨折、ヒビが入っている状態か、一瞬しなって元に戻った状態だろうとのことでした。
念のため整形外科で診断を受けるよう勧められましたので、明日の遠足は欠席です。
過去において、ここの先生の見立ては実に正確でしたから……テーピングした上、三角巾で固めて、三週間から一ヶ月の通院を覚悟することになりました。
それでも痛くなどない!と言いはる娘。よほど学校に、遠足に、行きたいわけです。
納得するまで話し合って、いやほんのちょっと鎖骨に触れるだけで陥落するほど痛いわけで、触るよと脅かしたりもして。
結局泣きながらいちごパフェを食べることで諦める決心をした娘。
その後はちょっと車が揺れても、風が吹いても、ひたすら痛みを意識してしまっているようで、ずっとずっと口をへの字に、怒ったような顔をしていました。
間抜けだ。
なんて間抜けなんだ。体育で事故って、いったい……と思い返せば、おや、私にも。
体育の時、背面で遠くに飛びすぎて、高飛びのマットからはみ出て頭から落ち、気絶したことはある。
回旋塔という遊具でトップの高さで手を離し、そのまま高く飛んで頭を打ち、保健室に運ばれたこともある。
飛んだ瞬間ブランコが後ろから直撃して頭を打ち……スケートで逆走してきた人にぶつかってふっ飛び頭を打ち……自転車で角を曲がろうとして出会い頭にトラックにぶつかって自転車ごとふっ飛び頭を打ち……
そういえば、私の記憶の中の危険な失敗は、いつもなぜか吹っ飛んで頭を打っているのでした。
でも、若い頃はさしたる怪我もせず「飛んだ、打った、痛かった」程度で済んでいます。
ああもうハードルで骨折なんて、こんな娘で頭が痛い、とか思っていましたが、頭が痛いのは私のせいでした。私の場合は怪我をしませんでしたが、不注意という点では、まるっきり遺伝なんじゃないか。
そういえば、私自身、二度ほど、階段から落ちて骨折もしていますし、娘を笑えないかもしれません。
まあ、人生のハードルに躓いたら、骨折程度じゃすまないかもしれないし。
こんな試練も、きっといいお勉強。
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