切れたミサンガを入れて、お守り袋というのを作ってみた。
端切れのフェルトで作ったので、ちょっと情けない外観だが、人もお守り袋も見かけで判断してはいけないのである。
でも、金髪歌野郎と化した相方は、みかけ、金髪だから怪しすぎるよ。
卒業式には染め直してねといったら、「じゃあ出ない」と言っていた。
確かに、金髪にしたらいいんじゃーん!と言ったのは私だが、卒業式までに、せめてグレーに染めるようにもって行きたい。……グレーならいいと思うんだけど、式典に髪染めて出るなんてそもそも私の発想がDQNかしら。
神奈川かどこかの、服装不合格事件はもっともだと思う私としては、ドレスコード厳守はマナーとして当然遵守すべきものだと思っている。もちろん、私も卒業式には正装・訪問着で行くつもりだ。
そんなわけだから、髪を伸ばして久しいのだが、これがつらい。
くるっと丸めてコンコルドでとめていると、本当に昭和一桁の映画に出てきた、長屋のおばちゃんのようなのよ。私自身も出来れば真っ赤に染めたりしたいのだが、抜け毛がひどくて、長い友達である髪を、これ以上いじめる気になれない。
人を外観で判断しない友達がご近所にいっぱいいてくれて心強い限りだが、このボーボーは老け込んで見える。モジャンボ娘を笑えない。二月の受験前には、モジャンボも、モジャンボ母も、何とか髪型を整えよう。仮に面接、お嬢で受かっても、その母の髪型で落ちるわ。
受験生を抱えるお正月ははじめてである。なんかもう、ドキドキだ。
姪が上京してきて、大学を受けまくったのはもう2年前か。今度はその姪の妹が高校受験。そして、娘が中学受験。
喪中でもあるし、今年の正月は控えめでいこうね。持ち込みビールは1ケースでいい?>ねえさん。
受験といえば、中学時代、クラス全員でお守りを作るのがはやっていた。
娘に切れたミサンガを入れたお守り袋を作っていて、ふと、「おまも」という言葉を思い出してしまった。御守と書かれているのを「おまも」と読んだ子がいて、以来、うちのクラスで御守は「おまも」だったのだ。
私は登校拒否をしていたのだが、出席日数のために週に一度だけ学校に行った。そのときに大量にお守りを書かされたのを覚えている。
自由に作れるのだが、折り紙に祈りを書いて折るというのが多かった気がする。
全員が作った小さなお守りが、受験日の前日に、受験生に渡されていたのだった。あれは、誰が煽動していたんだろう。……っていうか、今にして思えば、登校拒否しているような私にも、クラスメイトは温かかったのだなあ。ちゃんとメンバーに入れてくれていたんだもんな。
そうだよ、人生に絶望していた私は、滑り止めナシで公立一校だけしか受けなかったんだが、そのときも全員のお手製「おまも」をいただいたんだった。
全員であることにびっくりしたので、よく覚えている。
欠席していた私にも、ちゃんとクラスメイトとして、おまもは用意されていたんだ。普段はしゃべったことのないような子も、折り紙おまもを作ってくれて、そして休んでいる私の家に届けられたのだった。
試験の日、大きな袋に入れて持参した。そしてその後、お守りを開いて、全部読んだのをおほえている。
全員の言葉はきっとものすごーく温かかったと記憶している。具体的に言葉は思い出せないが、その温かかったという事実だけは、はっきりと覚えている。
いい感じに放置しつつ、いい感じに構ってもらえていたんだなあ。そんなこと、受験生でなければきっとわからなかった。受験生につきものの、あのおまもがなかったら、わからなかったと思うんだ。
おまもは、私にとって受験以上の意味を持った。おまもが、守ってくれたものに、改めて感謝しちゃうな。
娘も、三年早く、似たような気持ちを味わっているみたいだ。
帰国子女枠や推薦枠の子の受験が始まっていて、仲良しさん同士は、やっぱりお守りを作りあっている。
記念受検でも、それは最高の記念になる。友達の作ってくれたお守りは、何よりの証だ。
友情の証を手に入れられる受験は、いいもんだなと思う。結果だけじゃなく、経過にも、大事なものがたっぷり含まれているんだな、受験って。
この冬は、冬期講習の子もたくさんいるだろう。がんばれ、皆、がんばれ。
実力が発揮できて、最も自分に適した学校から合格通知が届きますように。
そして、受験を通じて成長した自分自身の知力体力、プラス友情に、しっかり気づいてくれますように。
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