なんだってこんなに靴がぼろぼろになるかなあと思いながら、紐を通しなおす。
福助はサッカーが好きだ。
サッカーの時にはトレーニングシューズというサッカー用のシューズを履くのだが、彼の足の裏からは何か特別な液体でも出ているのではないかと思うぐらい、インソールが擦り切れている。
さらに、甲は、「いかにも、私は合皮ですよ」と暴露しているかのような状態で破れができる。
並べて靴箱に置くと、なぜか右足のかかとの外側だけ、ボロッとしている。
このトレシュを買ったのは、8月の終わりだった。
毎回、二足から三足を交互にはかせていたのだが、姉の運動靴が同じサイズでたくさん出てきたので、サッカー以外の時にはそのスニーカーをはかせれば大丈夫だろうと思っていた。
……甘かった。
サッカースクールの日にはスパイク解禁だから、頂いたお古のスパイクを履く。だから、トレシュの頻度としては、週三回、各二時間である。
それなのに、トレシュは、いやついでに週一一時間履くスパイクも、なんか、「とてもかわいそうな靴」になっている。
先日の大会で準優勝したので、とりあえずまた、トレシュを買った。
彼のごほうびは、全部サッカーグッズである。
彼のサッカー人生(笑)が始まって、これは何足目なんだろう。
小学二年生で22センチは大きいほうみたいで、何回かはいてどうしても足に合わないものは、新品同様のまま同級生に引き取ってもらえるからいいんだが、ひとたび気に入ったものはあっという間に履きつぶす。
健康に走っている。真剣に走っている。楽しそうに走っている。試合が終わって泣くこともある。そんな福助を支えるシューズなんだから、これは絶対に必要な経費なんだろうな。
私はもう何年も、新しい靴を買っていないけど、足の大きさも変わらないし……何より彼のトレシュを買うほどの喜びはないしね。
明日から、遠征。
活躍したら、今度はスパイクを一足買うことにしよう。
あ、あと、試合用の靴下がいるな。よし、ごほうびは、それで決まりだ。ガンバレ、福助。
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