一目惚れして動けなくなることがある。
赤いべスパ、125cc。中古だが走行距離5000Km。
ああ、この子も私を呼んでいる……と相思相愛を感じるのに、私とその子を隔てる、憎い16万5千円。
でも、久しぶりに震えたなあ。
三輪バギー萌え以来だ。
それだけのお金があったら、まずポンコツ車のタイミングベルトを替えてやらなきゃいかん。タイヤもそろそろ考えないと。税金だかなんだかの督促もきていた。学資保険のまとめ払いももうすぐだ。娘は私立に行くかもしれない。息子のトレシュがまたぼろぼろになっている。
相方は先月連載を休んでいる。
そもそも赤いべスパで行くべきところがあるか、都内、バイクは駐車しにくいし、子どもを乗せるのは危険だし。
と、ずーっと赤いベスパの前で言い訳している自分。それでも、立ち去れないのは、本当に本当に、この子に乗って風を切ったら、さぞ気持ちいいだろうなあ。この子を磨いて、この子を自慢して、と、心はライド・オンな状態だったからだ。
子ども達が学校を出て、私に老後がやってきたら。
そうやって先のお楽しみがあるのもいい。
昨日の夜、子ども達と一緒にロボコン世界大会の録画を見た。
ロボットコンテスト、通称ロボコン。
私は、あの、機械好きの天才たちが大好きだ。第一回から、たいていのロボコンは見てきた。あまりに多種多様になってからすべてを網羅できなくなったが、今も大学対抗のものはチェックしている。
自分の英知と体力のすべてを注ぎ込んでロボット作成に賭ける、それもかなりくだらない競技ルールを推敲するために、戦略を練りに練ってマイマシーンで挑む、彼らにいつも涙する。命を吹き込まれた機械たちにも感動し続ける。
こうしたいという人の思い。
それに忠実に応える機械。
その機械をいたわり、微調整して、さらに精度をあげていく。一体化すべく技術を上げていく。そこにあるのは愛だ。ああ、こんなところに、なんて素晴らしい青春だ!
私があまりにポロポロ泣きながら見ているので、戸惑うP子と、わけもわからずもらい泣くきしている福助。いやあ、今年の戦いも熱かったなあ。
これは私の最も大好きなテレビ番組の一つである。
この先もずーっと続くといいなあ。
おりがみの鶴が折れないほど不器用な私には、メカニックは全くわからないし、できっこないとも思っている。でも、基盤をみれば意味もなくうっとりするし、博物館は大好きだし、量販店の電気屋さんなら一日いても飽きないぐらい、機械モノが大好きだ。
いい時代に、いい場所に、生まれたなあと思う。
たとえべスパに乗れなくても、ロボコンに出てくる若人達との接点はなくても、機械があってワクワクできる。叶わない惚れ方でも、一瞬、夢中になれるものがあるって、かなりうれしい。
ま、江戸時代だったらきっとからくり人形に夢中になっていただろうし、アフリカの大地に生きていれば、水をくみ出す井戸や、井戸作りの掘削機などに夢中になっていた気もするので、いつ、どこにいても同じ、やっぱりメカが好きなのかもしれないが。
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