昨日、私はあんまりにも肩こりがひどく、ぎっくり背中直前のいやな前駆症状を感じたので、入念に揉んでもらってきた。
エステでも美容院でもネイルでもなく、唯一の贅沢がマッサージと鍼なのだが、もういいの。外側より内側の健康なの。
一連のいろいろで、疲れが出てくる頃でもある。
しかし、一連のいろいろの最大占有率、下田行きでもっとも私を疲れさせたのが、外観に由来していたんだよなあ。本当は中身より外側を若返らせるほうが大事なのかもしれない。
下田の町を歩いていて、前からタイ人二人が歩いてきた。相方がタイ語で挨拶すると、「何でタイ語?何で私たちがタイ人ってわかった?」と、突然人なつっこさ満載モードに。
片言のタイ語でも、彼女達にとって見れば「なぜタイ語が話せるのか、そうかタイに行ったことがあって、タイ語も習ったのか、タイは好きか、うちによって行ってトムヤムクンを食べないか」と、水深400メートルの場所でやっとめぐりあった深海魚同士のような感じだったに違いない。なにしろ、蓮台寺に嫁いできた外国人花嫁らしいのだ。
実に楽しいおばちゃんたちで、なんやかや、10分ぐらいもしゃべっただろうか。途中茶々を入れるばかりの相方を、一人のタイ人が「あんたの子?」と聞いてきた。
へ?
ああ、まただ。
どうも、タイ人には、相方は子どもに見えるらしい。半ズボンとかわいいTシャツと髪形のせいかな。
15年前、新婚旅行のタイでもそんなことがあった。
バンコクでマッサージのおばちゃんが、私をもみながら、「子連れで旅しているのはなぜか」「あの子はいくつなのか」「学校はどうしているのか」などとやたらと聞いてくるのだ。マッサージのおばちゃんとか、飲み屋のお姉ちゃんは、生きた言語の先生なので、とにかくなるべく会話するようにしていたのだが、会話と言うのは初心者が質問するのが常である。なのに、相方が気になって仕方ないらしくて、とにかく彼について聞かれる。好みなのかなとか、新婚の私は思うのである。
とうとう最後に、半ズボン姿で体育の座り方で、ぼーっとテレビを見ている相方を指差して、私にもあのぐらいの子どもがいる。田舎においてきた。と始まり……。
タイ語初心者の私の聞き間違いだと思って何度も聞き返し、結局のところとんでもねぇかん違いだよ、わっはっは。と笑いあったけれど、いや全然笑えねぇよ。と思いつつ、チップをケチるぐらいしかリベンジの方法もなく、親子ほど老けて見える事実にがっくりきていた。
あれから15年たって、本当に子どもをもうけて、そして、またしても相方がわが子と間違えられるとはどういう因果。at 下田。
「ちがうちがう!」と言った後、くたびれた夫というタイ語が浮かばない。タイでは子どもができるまでは恋人と夫の言い方は同じで、だから私は新婚旅行中彼を「フェーン(恋人)」と言い続けていた。ええーい、いいや、今回もそう説明した。
「彼は恋人で、私には二人の子どもがいる」
するとタイ人たちは今度は何を勘違いしたのか、突然冷やかしモードになって、
「いやだ、熱い熱い!」「今夜も大変?」
みたいに言うのである。楽しいのは結構だが、打ち解けすぎだろう、君たち。
どっと疲れる。
見渡す限り山、流れる川、滴るせみ時雨。外国だ、ここは外国なんだと、ちょっと思った。500メートル行けば、携帯も圏外だし。
話がそれまくったが、私の問題は「老化」著しいことである。
脳梗塞は幸い笑い事だったが、これも43歳にはあるまじき症状ではある。老人性変形症と名づけられたうれしくない整形外科系の故障、更年期障害、ありとあらゆるいろいろが、年寄りむさい。
そして外観だ。
どこから見ても実年齢よりずっと上に見えるのも自覚しているが、どうしようもない。
困ったなあ。
それでものん様に本当に恋をして、心の愛人・紫文師匠もいて、定期的にお会いしに行っているころはまだ、お化粧もしたり無駄毛の手入れも怠りなかった気がする。最近は小僧のサッカーが忙しく、それはそれでやっぱり夢中だから、この夏は漁師のように日焼けしている。化粧してもどうせ汗でズクズク、日焼け止めスラ流れてしまって、顔まで黒い。いよいよ、男か女かすら怪しくなってきている昨今、次はタイ人に「おじいちゃん、あれはあんたの孫か?」と声をかけられないようにしたい。
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