2006年09月06日

かちかちやま

かちかちやま、って、おばあさん殺されちゃうのね。
なんかショックだ。
でも、そうしないとタヌキ溺死させるほどの復讐にはならないか……と、考え込む私。

昨日、道隔てた烏山地区で大きな火事があったが、死者はなかったらしくよかったねとママ友で話し合う。
ヘリも飛んでいたというが、それは昭和大学付属病院の食中毒騒動のせいかもしれない。
そんな折、子ども達が図書館から借りてきた、寝る前に読む用絵本が「かちかち山」だったの。タイムリーすぎるというより、潜在的に何か影響したのかもしれない。

で、いたずらタヌキは、ばあさんを殺し、ウサギが落胆するじいさんに敵討ちを約束し、火をつけ、火傷させ、そこに辛子を練り込んで、川におびき寄せ、泥船を沈める……という、実になんとも救いのない話だった。
ご存じでしたか?
私が子どもの頃に読んだのは、多分、やわやわに書き下されたものだったんだろう。今でもユーモラスな、知恵者のウサギと間抜けなタヌキのおもしろおかしい話だった記憶があったから、正直、私自身がショックだった。
まあ、復讐劇でもなければ生きたタヌキに火はつけられないよな、とちょっと思ったりもする。
しかし、ウサギが義勇心に燃えるのが突発すぎて、意図がわからない。仕事人としてニンジン一山もらっているわけでもない。
しかもウサギ、正義の味方にしてはヤリ口、残虐。動機に、個人的な恨みがあったのかもしれない。
そもそもウサギのくせに、お前、火が怖くないのかよ。とか、もうどうでもイイコトが気になる。
この絵本、私が知っているのと違って、タヌキもウサギも服を着ていないし、ウサギが逃げるときは四つ足なんだもん。ぴょんぴょん逃げて、何、日本語をしゃべっているか。アナタ、日本語ドコデナラタカ?
ま、そこは百歩譲っても、そもそもタヌキはタヌキ汁にされるところをばあさんだまくらかして逃げたわけで、監禁されていたわけだから、正当防衛に近いものがあるのではないか。誰か、タヌキの立場で弁護する人はいないのか。

さて、小僧は寝る前クイズというのを課題にしている。
毎日簡単な話を注意深く聞き、要点を語らせたり、単語や固有名詞をあてさせたりする、初歩の国語講座だ。言葉が苦手、とくに聞くことが苦手というので、編み出した教育方法だ。
始めはとても短い文の問題を答えさせて絶賛を繰り返し、だんだん長い文章にしていって、現在、やっとストーリーものにもくいつくようになった。図鑑とカタログ以外読まなかったのに、図書館でちゃんと物語を借りられるようにもなった。ああ、長い道のりであった。
しかし、シンデレラだって浦島太郎だってその他アンデルセンもグリムもイソップも、私がその場でねつ造して作る話ならきちんときけたのに、難しい言い回しが多すぎたのか、今日の「かちかちやま」は全く駄目だった。黙っては聴くけれども、意味はまるでとれなかったみたいだった。
いや、おそらく言い回しの問題じゃないな。でもさー、これは途中、ちょっと耳を閉じてしまってもしかたないんだも。たぬきさんは小僧の友達なんだも。なのに、可哀想すぎるんだも。
……すまん、小僧。親として配慮足りなかった。
絵本もいいのだが、これからしばらくまた私のオリジナル勧進帳でいこう。これなら、小僧の好みで作って行ける。
何度か私の勧進帳を聞いている相方いわく、 
「無駄に才能を使っているなあ」
……いいよいいよ、それでも。高校時代、演劇部で重いコンダラを引っ張り、血の汗流し涙を拭いたのは、きっとこの時のためだ。

「おかあさん、福助を生んで、本当によかったんでしょう?」
と、聞かれた。
「もちろんだよ」
と、答える。そうだ、もうさびつき始めた記憶容量、海馬に鞭打って、さあ、仕込むんだ。私の脳に、輝ける小僧専用ライブラリーを。
そして、今こそ立ち上がろう。Get up,stand up,stand up for  the タヌキ。
え、そういうこと?!

……よっぽど不快だったんですね、この「かちかちやま」。


2006年09月06日 01:35