万華鏡

似ている、らしい。

父が佐賀の出身である。
で、私はどうも九州男児に弱いらしい。
九州出身の男友達は、たいてい無条件で「いいなあ」と思う傾向にある。
とりわけ、熊本だ。
熊本に取材に行ったとき、なぜかこんなにもてたことはないというほどモテモテ状態になり、今でもあれは夢だったのかなあと思うことがあるんだが、そのときにインプットされた九州弁がまた、甘美だった。口説かれるなら、熊本弁がいい。引退したら熊本は阿蘇山の麓で、馬でも飼おうと、二十代前半の頃には本気で思っていた。

ところで、私には熊本出身の友人が、思いつくだけでとりあえず二人いる。
この二人のうち一人は、私が理想とする条件を書き出すと、なぜかそのすべてを満たしている。美形で知られる、とり・みきさんその人である。とり・さんからは猿テニスの折りなどに、割と邪険にされるのだが、その邪険にされ方すら、好ましいのだから、すでに、愛といえよう。
もう一人は、デザイナーのsin君だ。エスケープ・ゴーストというブランドを展開していて、うちの小僧がここのパンダーさんTシャツに傾倒しているが、その執心ぶりは何かDNAのなせるワザなのかもと思う。なぜなら、初めてsin君にあったときに、危うく私が彼に一目惚れしそうになったのだ。うわー、理想、理想。これが私の理想!!　と心が叫んでいたが、十歳の年の差と福助への愛で踏みとどまった。いや、sin君の恋人が超美人だったので、私の一目惚れは3分で砕け散ったのだが。
ちなみにうちの相方が、sin君の彼女に一目惚れしていた。sin君夫妻は、私たち夫婦の弱点である。

でもって、そのsin君が、熊本人を代表して、私の顔を好ましく思っているという噂を聞いた。ウッチャンに似ている、というのがその根拠である。
あら。私は熊本顔だったのね。それであんなに桂花ラーメン@新宿が好きだったんだろうか。
そういえば、私の長年の親友・祥子は、ウッチャンの大ファンであった。今はイ・ビョンホンに傾いているが。ウッチャンとの出会いより、私と知り合う方が先だったから、祥子がウッチャンファンになったのは、私への愛のなせるワザかもしれない。ちなみに、ビョンは、祥子の夫に似ている。ちょっと、悔しい。うちの相方は石原良純似である。……ちょっと、哀しい。
それはともかく、私はウッチャン似だったのか。と、改めて思う。

「柴田、似てるよね!」
とつい最近、別の殿方から指摘された。柴田理恵とは雰囲気とかキャラは似ていると思っていたが、そんなに!?
と言ったら、「アンタッチャブルの柴田の方だよ〜」と言われた。勘違いを修正して、更に落ち込む。
柴田は、目が小さくて鼻がでかい。そういわれれば、確かに、似ている気がする。
自殺した桂三木助には、我ながら似ているなあと思っていたが、そうか、柴田か。そして、ウッチャンか。……ちょっと痩せると、犯罪者・林真須美から一気にお笑い顔に。
そういう、顔だったのね……。
なんかこう、歌手とか女優とかはいないものか。あ、大昔、水前寺清子に似ていると言われたことがあったな。彼女は確か、熊本出身じゃなかとね?
……そんなに心躍るわけでもなく。

いずれにせよ、私のルーツは九州にあるのだろう。父方の旧姓は馬渡だ。
そうだ、九州に行こう。

と、思い立って行けるほど、我が家の財政は豊かではないんだが。
福助がシンガポール以降、旅行に行きたくて仕方ないらしく、パリはどうだ、ハワイはどうだ。ベネズエラは、コンゴは、と、ムシキングのふるさとも含め、やたらと提案してくる。
「行っちゃった方が早いんじゃない?」
と、そそのかしては、悦にいってる。日本国内にも素敵な場所はたくさんあって、小僧にも娘にも、日本は広いんだ、東京でちっちゃくまとまっちゃいけないよと、教えてあげたいなあと思う。

旅行に行きたいと切望するのは、ものすごーく精神的に煮詰まっている証拠なんだが、そこにルーツがどうしたとかそんな話を付け加えると、そんなに罪悪感を感じずにすむ。
もうすぐ春休み。それまでにやらなければならない仕事がたっぷり残っちゃっているので正直、逃げたくなっているのだが、せっかく春なんだし、どこか(特に九州地方)にいくのもいいよなあ。
大人には春休みなんて、ないんだけどさ。

2006年02月20日 11:41