2006年02月12日

戦争と平和

先日、下北に行ったときに心奪われて衝動買いしたもの。
それは、フランス軍の防寒コートだった。男性のLサイズ。それがちょうどいい女なのさ、私は。
その問題はひとまず別にして。
このコートがね、私の大好きなオリーブカラーで、しかも暖かいのね。さすが、軍隊用に作られているわけである。
「これ、女性誌か何かで出てたんですかね、なんかここんとこ、すごい売れてるんですよ」
と、見るからにミリタリーオタクな店員さんが私に聞いてきたとき、私は明確なことを知らなかったので知らないでありますとだけ答えたものだった。
ところで、私にはぽんさQという友達がいる。軍事オタク、もとい、軍事評論もできる、ライター仲間だ。
世界中を旅する彼に、
「シンガポールのマーライオン? 公園の狛犬みたいな大きさですよ」
と騙されて、世界三大がっかりの本物を見たときにがっかりできずにうっとりしたのはいいのだが、狛犬と信じ込んだおばちゃん達(含む私)は、マーライオンといえば、「マーライ」と「ウン」が、境内みたいなところで二対で静かに水を吐いている気がしてならず、その記憶の修正が大変なのだった。
このぽんさQが「とにかく軍隊のモノは確実だ」という思想の持ち主なので、私は知らず知らずのうちに影響されたのだと思う。全く、友達というのは選ぶべきである。はやりのファー付きダウンなら、そのフランス軍のコートの半額以下で売っていたのに、どうしても私の心をとらえていたのは、ぽんさQの声であり、この無骨なアーミーコートなのだった。
しかし、実際、着てみて、すぐにわかったよ。女子からすごい人気があるという意味。そして着続けて確信したこと。それはね、女心を刺激するんだと思います。そりゃあ、もう。
でっかいフランスの軍人さんに、東北弁にも似た優しいフランス語で気遣われながら、こう、「守られている感」がものすごーい、くるの。
それはこんなに丸くなった私でも、である。か細くとんがっている頃の私だったら、どんなにか……。そりゃもう、どんなにか。
どこまでも温かく、ポケットは大きくて機能性に富み、とても軽い。アーミー物にしては、さすがフランス、デザインもいい。撥水効果もあって、子どもが飛ばしたマックシェイクもシミにならないあたり、もう戦時中でも平気ジャン!!って気分だった。
よくよく考えれば、育児は戦争じゃない?
私は今、まさしく私は戦場にいるわけだ。その武器は、笑顔と教養。忍耐力は軍人仕込み。そんなときには本物のミリタリーが、実にしっくり来るわけね。だぼっとしているから、万一寒いときには子どもも一緒にくるめます。
というわけで、大変気に入っている。今年は思い切った買い物をしてよかったなあ、コートを買うなんて何年ぶりだろう。7800円、この金額にものすごーい躊躇した辺りが、主婦。
これにヤコフォームの冬用靴を履いて、完全防寒する。特に息子のサッカーの時には、観戦の際の寒さが厳しく、それ専用のダウンを買うつもりだったんだけど、でもサッカーだって、美しい戦争なんだし、これで十分だと思い直した。母ちゃんはミリタリーファッションに身を包んで、歓声で参戦するのだ。

この週末は娘の英語劇団関係の外出。
で、結論から言って、うちの娘さん、下手すぎる……あまりにヘタな演技に、スリッパを投げて(演劇部の伝統演芸)、演出つけ直してしてしまった。もちろん監督さんは別にいるので、余計なことなんだが。でも、この期に及んで台詞を覚えていないなんて、舞台に上がる資格がないわと月影先生になってしまうのである。意味もなく、源造(あれ、こんな字?)を呼びつけて、八つ当たりしたくなる。
「なぜこの台詞を言うのか」
「そのとき、あなたはどんな気持ちだったのか」
なんてなことをひとつひとつ熱く娘と語っているうちに、実は娘の習い事に入れ込んでいるのは私の方だと知る。ああん、いやだぁぁぁぁ。元・演劇少女の血がぁぁぁぁ。紅天女がぁぁぁぁぁ。(意味不明)。
今日は同じ演目をやっている劇団のお芝居を観てきたんだが、私がおおこんな解釈も!! と演出に感心し、思わず娘を見たところ、娘、寝ていてびっくり。
……大物、なのかもしれないとも思ったが、ああこの人は北島マヤじゃないと確信した一瞬であった。
芝居やる人にとっては劇場が戦場だ。なのにそこで、寝るなって……。

トリノでは、みんな戦っている。
里谷多恵だって結構な美人なのに、すっかりヒールで、みんな上村愛子ばかりを見ていて、可哀想だなあ。そこも女の戦いなんだろうかなんて想いながら、テレビはやっぱり五輪になっている。
こうしてみると、人は、戦うことが、大好きなんだな。500万年もの間、戦って戦って、勝ち抜いてきたのが今の人類なんだから、そうそうその遺伝子が消えるはずがない。
せめても冬季オリンピックの応援に、オフィシャルスポンサー、マクドナルドで夕飯。車内中吊りで、ドナルドがとにかくいろんな種目に挑戦していて笑う。スピードスケートとか、ジャンプとか。それが印象的で、マックに行ったんだけど。
「ガチャピンとどっちが上か競争したら面白いのになあ」
などと、ぼんやり考えてしまったわ。

できれば争いのない場所で暮らしたい。平和な毎日がいい。
世界中のすべての母親がきっとそう願いながら、どこかに戦いを好む気持ちがある。
これは、世界中のすべての母親がセックスなんかしません、という顔をしながら、実はああやったりこうやったりそうやったりして、子どもを作ってきたというのに似ているのかもしれない。いや、過去形でなく、ある程度、現役の人もいるわけで、お母さんはセックスなんかしませんという顔して、何してんだか。
はい、ごめんなさい。久しぶりにあった知人が妊娠していて、ちょっとうらやましかったの。

さて、明日も好戦的な気持ちを切り離して、PTA関係の集まりに行ってきます。ママさん、ざます。
早く寝よう。

2006年02月12日 23:07
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