「はやくよくなってね、またあいにくるからね、ふくすけだよね」
と鉛筆で書く。福助は、日々いかしたコピーを量産している。
P子はきわめて良識的なことしか書かない。が、今日が祖母の手術日だと聞いて、カードを書こうとする行動力がある。
そして、私はみかんを食べている。誤って密輸してしまった、紅袋に入ったみかん二個は、義母がこの時期に送ってくれるポンカンの味だ。最終日に友達と別れた後、途中の廊に初詣に入り、頂いたものだった。金に見立てた、幸運の印。義母はミカン農家を営んでいる。幸運の印を作っている人が、病魔に負けるはずがない。
昨晩、電話で友人の愚痴につきあった。
今日もなぜか別の友人の愚痴を聞くことになった。
私に話すことで気が楽になればいいのだが、たいていのことは解決しない。しかも、眠たい頭では気の利いたこともいえない。シンガポールの余韻があったので、にこにこだけはしていたが、おかあさんたちは人間関係でこんなにも苦悩しているんだなあと思った。
ええーっと、迷える大羊ちゃんと化したママさんの近くにいるご亭主系の人。
自分も大変だろうけど、ちゃんと自分の妻の愚痴も、聞いてあげてね。
そんなわけで、麻酔を打たれたように、ねむくてねむくてたまらない。ああ、また睡魔がどよよーんと……。実際に麻酔を打たれて眠る義母の上に、どうか心地よい休養が訪れますように。麻酔打ってるから、休養になるのかどうか、謎だけどさ。
手術中は全身麻酔で全く意識がありません。術後に目が覚めて、徐々に傷口の痛みとか身体の疲労が訪れて来て、点滴やチューブで栄養を取りながら、それに耐え、できるだけ早く身体を動かした方が傷口の回復も身体(筋肉)の回復も早いのだそうです。近年では虫垂炎の手術なんか日帰りなんだそうで。
こーゆー場合、身体が若い方が有利ですが、田舎住まいのご老人は日々身体を動かして生活されている為、壮健であらせられます。精神的な強さも戦後の昭和生まれの我らとは比較できません。
ここで可愛い孫がぽちっと訪れると、これまた妙薬でして、お婆さんはうんとこさ「生きる気」が湧いて参ります。
「あらら、心配したけど、がっかり〜ねぇ♪」になる様、お祈り申し上げます。
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