そうか、シンガポールでは売ってないのか……。
在シンガポールの友人・山田(仮名)のお土産リクエストが「宝焼酎レジェンド25度」だったので、酒屋を流浪する。海外に暮らして、何がつらいと言って、うまい酒が飲めないことだというのは身に沁みてわかる。純米大吟醸がうまいの、山田錦が、精米度合いが、とほざいていた私と相方が、タイに滞在中、醸造アルコールたっぷり添加の白鶴飲んで泣きそうになったんだから。日本酒久しぶり過ぎて、本当に泣けたんだから。あのとき、五臓六腑に染み渡るって体感したもんだよ。……そんなんだからね、焼酎レジェンド、何があっても持って行くよね。
こじゃれた酒屋か量販店なら、720mlの瓶入りはある。しかし、できればもうひとまわり大きいのが欲しい。だって、これじゃ、一晩で空いちゃうよ〜。といって、瓶を2-3本手荷物で持って行くと、めちゃめちゃ重い。幼児連れに酒瓶はつらい。一升瓶ぐらいのペットボトルが軽くていいんだけど……。
ところが、みつかったのは2.7L。ビッグマンとか大五郎とか、あんな感じのかわいげのないでかいペットボトル。酒屋を手分けしてぐるぐるまわるも、選択肢はやはり720mlか2.7Lだ。なんで中途半端な大きさを用意しておかないのだ、宝焼酎!!
こじゃれた包装で見栄えがするのは小瓶の方だ。舌切り雀だって、「二者択一を迫られたら幸福のために小さな方を取れ」と教えている。しかし私は酒飲みだ。当然、何より量がほしい。しかも入手困難ならなおのこと、でかいほうがいい。中に金銀財宝ならぬ幽霊が入っていようと、大きい酒がいい。断固、2.7Lである。
ここで、不安になったのが、世界一厳しいというシンガポールの法律だった。
ワイン3.7本分に相当する。ということは申告が必要なのか。スーツケースに入れていったら密輸と間違えられないか? そのまま刑務所は困る。私には子どもがいる。といって何かの間違いと言うことにして破棄してもらったら、海外で頑張る、山田家の風間トオル似のパパのお楽しみが流れてしまう。それはなんとしても、避けなければ。
風間トオルのためには、私たちだって頑張れるのである。パパが間寛平似だったら、即、720mlかもしれないから、ある意味、罪な美貌である。
大使館に電話するが、税関担当は冷たい。電話中だったり、時間指定してきたり、同行者のはっちゃん(仮名)が電話の窓口になったからよかったものの、私が直接話していたら切れていたかもしれん。そして、言質頂いて、結局でっかい方を箱詰めにし(X線でアヤシイ影が映るだろう。どうしよう)、スーツケースに入れ込んだ。これでスカスカだったところが多少埋まって、それでもまだ、かぽかぽなのだが、その分夢と希望を詰め込むことでフォローしたい。帰りはお土産で、あたかも私がはくジーパンのように、ファスナーしめるのに四苦八苦なのだ。ふふん。
そんなこんなでしばしのお別れを惜しむかのように、今夜は何かイイコトがあるかと期待もしてみたのだが、相方飲み会でさっさと消える。
私はP子の習い事の送迎で、既にくたくた。ドリンク剤を飲んで、あともう一踏ん張りだ。飛行機の中で寝ればいいのだ。飛行機のエコノミーなシートが待っている。ビールだって飲み放題。そういう夢を目の前において、母は、いつだって八面六臂である。
うわー、はっちゃんちの小僧、発熱。
うわー、あいちゃん(仮名)、突然の生理。
うわー、うちは、うちは、あらら、うちだけ順調だ、おかしい。嵐の前の静けさなのか。
まあこの期に及んで、家事丸残し、風呂にも入っていなくて、荷造りすんでいないわけだから、十分焦っていい気もするけれど。
果たして明日、無事、成田エクスプレス29号に乗れるのか。そもそも、29号では集合時間を大きく遅れていくスケジュールなのだが、平気なのか。出発まで1時間もあれば何とかなると勝手に見越しているあたりが悲劇につながらないことを祈る。
ああ、NW005便(往復27000円燃料税など別)に無事に乗れますように。乗ってしまいさえすれば、大丈夫だ。明けて深夜にはシンガポール。明日の今頃には、シンガポール上空にいるのだ。レジェンドを詰め込んだスーツケースと一緒に、私は飛んでいるのだ。
ああ、私にとっては幼稚園ママと海外旅行、それがもう、立派なレジェンドである。
<次回予告>
さぁて、来週の万華鏡は?
・シンガポールに新しい伝説!!
・期待通りの大失敗。
・世界三大がっかりのマーライオンにがっかりできなくて。
の三本です。股、見てくださいね。
< お土産課題>
マーライオンの口からどばどばお酒が出てくるサーバーみたいなのを探してみたい。
個別には一切買わない予定なので、直接知り合いの方、ごめんね。
「シンガポールって世界一マナーにうるさい法律があるんだよね」
「まじでっ」
「うん。煙草のポイ捨てとかゴミの投げ捨てとか唾吐くだけで1000ドルだっけ」
「まじでっ、まじでっ」
「大阪人なんか、すぐ捕まっちゃうよなあ」
「まじでっ」
「・・・・・・・」
「まじでっ」
「なにも言ってないよ。みそさん家、無事に帰って来るかなあ。南国への適応能力が抜群に高いみたいだけど。」
「まじでっ」
「あ。帰ってきてからが心配だなあ。日本語覚えてるかな。」
「まじでっ、まじでっ」
「現地語でブログ書かれたら判んないよね。困るなあ。」
「まじでっ」
「マジじゃないよ。うっそー。」
「まじでっ」
ライオンの口からどばどばお湯が出てくる玩具は3年くらい前にキディランドで見ましたっけ。。。
「まじでっ」
HOME |
Topページにもどります |
AFFILIATE |