Kindleアンリミテッドが始まって、もう8ヶ月になります。
去年の8月から今年の1月まで。6ヶ月分の数字がまとまったので、発表しますね。
アンリミテッドが始まった時、最初に「こりゃだめなんじゃないか」
とツイートしたのが未だに残っていて、「鈴木みそも駄目だと言っている」という書き込みをする人がまだ大勢います。
声を大きく。文字のフォントをぶっとくして言っておきますが、あれは数字を読み違えていた勘違いで、実際はとてもいい数字がでてました。申し訳ない。
キンドル読み放題素晴らしい!
これはマイナーな作家を救う、と今は思ってますから!
キンドルアンリミテッドとは、月980円で、書籍、コミック、雑誌を含む和書12万冊、洋書120万冊以上が読み放題になる。というしくみです。
アマゾン電子ストアにあるすべての本が読めるわけではなくて、アンリミテッドに登録された本だけ、最大10冊まで持っていることができて、読み終えたらどんどん消して新しい本に入れ替えていく。というものです。
最初大手出版社のマンガが大量に読めたので、これはすごいものが始まったと息を止めて見ていましたが、あまりにマンガが簡単に大量に読まれた結果、アマゾンが悲鳴をあげて出版社との契約を打ち切って次々にマンガが消える事態になった。と言われてます。
出版社によっては、10%読まれたら、本が1冊売れたことと同じ金額を支払う。という破格の契約のところもあった(と某作家にお酒飲ませて聞いた)ようで、どんだけアマゾンはお金あるのか。とびっくりしたんですが、出版社ではない個人作家はどんな契約なのか。
読み放題は読まれたページ数に対して支払われます。今は1ページで約0.5円。
マンガの本は1冊だいたい200ページくらいですが、全部読まれると100円くらいが作家に支払われます。1冊100円って結構でかいですよ。紙の本を書店で売ったら1000円の本が売れたことに匹敵しますからね。
このアマゾンの定めた「ページに対する金額」はプールされた金額を読まれたページで割った変動相場なので、世界中で大量に読まれるとページ単価が下がる可能性があります。そのブレを防ぐためにアマゾンは何億円という金額をプールにどばどば入れて、金額を安定させています。(何億円上積みさせました。という景気のいいメールが頻繁にやってきます)
これは数年間同じ金額で推移していますが、ある日突然半額になったりする危険を秘めていることは頭に留めておく必要があります。
アンリミが始まったからと、特に新しい本を出したわけではなく、以前に出した本をキンドルストアにおいておいただけですが、毎月かなりのまとまったお金が入ってきます。
鈴木みそと電子書籍。というと2013年にアマゾンで1000万円の利益を出した。ということで有名になりましたが(それを自分でも散々言ってます)正直まあ、あそこで売り切ったかなーと思ってました。「限界集落(ギリギリ)温泉1巻」は、電子で2万5千部を超えて3万部に届きそう
「ナナのリテラシー」は総数で紙の本の数を超えました。
自分の読者には一通り行き渡ったかなと。
この「売り切った」本たちが読み放題でまた息を吹き返したのが最初の月8月。
販売と読み放題を合わせて1,469,942円。
146万円ですって、
すげえなにそれ。
と言っていたら出版社が次々読み放題から撤退するというニュースがかけめぐりました。
大手出版のマンガがなくなる。それはピンチでありチャンスでもあります(笑)
実際はたくさんのマンガが読めて読者が増えていったほうが将来的にはメリットが大きいと考えていますが、短期では競争相手が消えることのメリットがあります。
怒涛の9月はどうだったのか。
1,502,448円
150万円に増えてる! 今まで読んだことのなかった層に届いている。
読み放題で新しい読者が増えた。というのは大変喜ばしいことです。
ここで10冊以上の本を読み放題で出していることが、案外大きかったということに気づきました。
1冊読んで面白かった。と思った人は続けて続刊を読み、それが終わると別の鈴木みその本を読んでくれる。
続けて読む。これがグラフを見ているとわかります。
(9月のグラフ。上の赤いグラフは販売数。下の青いグラフが読まれたページ総数。販売数のピークと読まれたページのピークは数日のズレがある。読まれたページ数は一日10万ページくらいを安定して保っている)
販売はネットニュースなどで話題になった日に跳ね上がりますが、3日くらいで落ち着いて元にもどる。
読まれたページ数の総数グラフは下がり方がゆっくりで、2週間から3週間、じわじわ続いていくんですね。
では読み放題10月はどうだったのか。
786,946円
さすがに100万円の大台はかけましたが、まだまだ80万円近い。
これが何もしないで入ってくるインカムだというところが実に大きい。
紙の単行本の場合、出版した時だけお金が入ってきます。600円の本を1万部刷ったら、60万円の印税が出版社から支払われますが、先払いなので本屋さんで売れても売れ残っても作家の懐には関係ありません。
売れて在庫がなくなって、まだ売れると判断された時に「増刷」がかかりまして2000部増刷印税12万円が支払われます。
売れた数ではなく、刷った数に対して払われるのが単行本印税です。
電子書籍は売れた数に対して支払われますが、読み放題は読まれたページ分だけ積み上がっていくしくみなので、マンガ家としてはとても美味いのです。
マンガは1ページ5〜6秒で読めるから!
さあて、落ち着きを見せ始めた11月はどうか。
591,554円。
堅調ではありますが、じわりと下がってます。
いよいよ読み放題バブルも弾けたかなー、と思った12月。
366,137円
かなり落ち着きをみせてきました。
このくらいからもう数値を見なくなったのでw,この先自分でもわかっておりません。
年があけて2017年1月。
さあどうか。
373,234円
おおー、下げ止まっている!
このくらいで安定してくれると大変うれしいわけですが、この収入のお陰で、出版社の漫画雑誌の連載がなくなった今も慌てずに暮らせてます。英語学習を一日4〜5時間もやっていられるのはこのおかげです。ビバ読みホーダイ。
半年でトータル487万1944円
半年でトータル509万0264円。
(※データの1月と11月を取り違えて1月を二回計上していたため、数値が間違っていました)
ざっくり「半年500万」です。(※超えました)
10冊以上の本を読み放題に登録している。というのが安定しているポイントの一つですが、これはもしかして新作マンガをアマゾンで描き下ろしても、食っていけるんじゃないか。という方向がぼんやり見えてきました。
過去作品がベーシック・インカムのように入ってくれると、新作はその刺激となり、底上げにもなるわけです。
すでにたくさんの本を出しているベテラン作家こそ、読み放題にチャンスがあるんではないか。
本は電子の販売数ではなく、読まれたページ数に移行してきてます。買って残してもらうもの、保存してもらうもの、とは違う方向性です。
紙の「単行本」にあたるのが「電子書籍」の販売であったように、マンガ業界を支えてきた「雑誌」に変わるものは、「読み放題のページビュー」なのではないかと考えてます。
島本和彦先生、まだですかー(笑) もうこの前出す直前まで来てたのにもう半年経ちましたよ。
先生くらいのビッグネームがどんどん入ってくるとまた面白いことになるので、期待してます。
それと、以前高い障壁としてそびえ立っていた「アマゾンで電子書籍を出すためには、アメリカの納税者ではないという証明を英語で書いて出す」あれですが、今はもうやらなくてよくなってます。
本をjpgで並べなおしてウェブに上げればすぐ出版できます。
一方でアンリミテッド景気が吹き上がった個人作家の方もおりました。IronSugerさんは半年で1千万円を超えるほどの勢いでしたが、彼の作品がある日突然アマゾンから消えました。
アマゾンが消したということらしいです。
これが日本の出版社にはない、外資系の怖さ、であって、何の説明もなく突然作品を売ることができなくなる。というリスクがあります。
エロは特に風当たりが強いので、なぜ今までよかったものが、急に消されるのかはわかりません。アマゾンも説明することはないでしょう。
一般的なマンガもある日突然バンされるのか。
まったくないとは言えませんが、それほど怖がらなくてもいいと自分は考えてます。
同じようなリスクは日本の出版社においてもあるわけなので、作品を作っている以上しかたない。と割り切るようにしてます。
アマゾンが駄目だったら別のところに持っていけばいいですしね(笑)
とにかく自分で自分の作品を管理できること。これがもっとも大きなプラスなので、まだしばらく読み放題に期待します。
読者のみなさんもお試しで1ヶ月だけでもどうですか。
かなり読み応えのある作品がそろってますよ。利用人口はゆっくり右上がりなんですって!(アマゾンの人から聞いた情報)
いやー、実に面白い時代になってきたー。